機械加工の図面記号は数が多く、見た目と意味が結びつかず迷っていませんか。意味と呼び方の根拠は、寸法補助記号がJIS B 0001の表7、幾何特性の記号がJIS B 0021の表1。
両者の記号の一覧と読み方、さらに表面性状の図示記号の種類を解説します。
機械加工の図面記号は規格の表ごとに定められている
種類ごとに根拠の規格と表が分かれる点が、機械加工の図面で使う記号の特徴。図面記号一覧として引くときは、まず記号の種類を見分け、下の表で根拠の規格と表番号を確かめます。
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記号の種類 |
根拠の規格 |
定めている表・箇条 |
|---|---|---|
|
寸法補助記号 |
JIS B 0001:2019 機械製図 |
表7(11.6.1) |
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幾何特性記号 |
JIS B 0021:1998 幾何公差表示方式 |
表1・表2(5 記号) |
|
表面性状の図示記号 |
JIS B 0031:2003 表面性状の図示方法 |
4.2〜4.4 |
JIS(日本産業規格)B 0001は機械製図の規格で、対象は主として部品図と組立図です。B 0001に規定のない事項は、JIS Z 8310(製図総則)などを参照します。
本記事で扱う3規格の状態は、いずれも2026年10月時点で有効。
機械加工そのものの基礎は、「機械加工とは?種類・加工方法・工作機械の基礎知識をわかりやすく解説」にまとまっています。
出典:kikakurui「JIS B 0001:2019 機械製図」(1 適用範囲)
出典:JSA Webdesk「JIS B 0001:2019」(状態:有効)
出典:JSA Webdesk「JIS B 0021:1998」(状態:有効)
出典:JSA Webdesk「JIS B 0031:2003」(状態:有効)
寸法補助記号の一覧|φ・R・C・tなどの意味と読み方
寸法補助記号は、JIS B 0001:2019の表7が種類と呼び方を定めています。
表7の全行を、原文の並び順で次の表に載せます。円すい状の面取りの角度の考え方は、「旋盤のテーパー加工とは?やり方・角度の計算方法を解説」にまとまっています。
寸法補助記号の意味と呼び方の表
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記号 |
意味 |
呼び方 |
備考 |
|---|---|---|---|
|
φ |
180°を超える円弧の直径又は円の直径 |
まる/ふぁい |
|
|
Sφ |
180°を超える球の円弧の直径又は球の直径 |
えすまる/えすふぁい |
規格の表ではSΦと印刷 |
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□ |
正方形の辺 |
かく |
|
|
R |
半径 |
あーる |
|
|
CR |
コントロール半径 |
しーあーる |
|
|
SR |
球半径 |
えすあーる |
|
|
⌒ |
円弧の長さ |
えんこ |
|
|
C |
45°の面取り |
しー |
|
|
名称:円すい面取り記号(JIS B 0001 表7) |
円すい(台)状の面取り |
えんすい |
|
|
t |
厚さ |
てぃー |
|
|
名称:ざぐり記号(JIS B 0001 表7) |
ざぐり/深ざぐり |
ざぐり/ふかざぐり |
同一の記号で、呼び方が2つ。ざぐりは黒皮を少し削り取るものも含む |
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名称:皿ざぐり記号(JIS B 0001 表7) |
皿ざぐり |
さらざぐり |
|
|
名称:穴深さ記号(JIS B 0001 表7) |
穴深さ |
あなふかさ |
|
半径を示す寸法線を円弧の中心まで引く場合、Rの記号は省略可。
面取りの記号Cは45°のときだけ使える
45°の面取りは、「面取りの寸法数値×45°」か、面取り記号Cを寸法数値の前に同じ文字高さで記入して表します。
一般の面取りは、通常の寸法記入で足ります。円すい台状の面取りは、円すい面取りの記号を寸法数値の前に置き、後ろに×と頂角を続ける形。
切削加工の全体像は、「切削加工とは?種類・使用機械・メリットと工作機械の選び方まで解説」にまとまっています。
ざぐり・皿ざぐり・穴深さの記入位置
ざぐり記号は穴の直径を示す寸法の前、皿ざぐり記号は穴の直径の次に記入します。
続く数値は、ざぐり記号ならざぐりの数値、皿ざぐり記号なら皿ざぐり穴の入口の直径。
穴の深さとは、ドリルの先端で創成される円すい部分などを含まない、円筒部の深さです。傾斜した穴の深さは、穴の中心軸線上の長さ寸法で表します。
穴あけに使う機械は、「ボール盤とは?種類・構造・使い方・選び方をわかりやすく解説」で確認できます。
出典:kikakurui「JIS B 0001:2019 機械製図」(11.6.1 表7 寸法補助記号の種類及びその呼び方・11.6.2 半径記号の省略)
出典:kikakurui「JIS B 0001:2019 機械製図」(11.6.8 面取りの表し方・11.7 穴の寸法の表し方 ざぐり・皿ざぐり・穴の深さ)
幾何特性の記号一覧|形状・姿勢・位置・振れの公差記号
JIS B 0021:1998は、幾何公差を形状公差・姿勢公差・位置公差・振れ公差に分け、特性ごとに記号を定めています。次の表は、表1の区分と並び順のまま、データム指示の要否を添えたもの。
幾何特性記号の表
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公差の種類 |
特性 |
データム指示 |
字形 |
|---|---|---|---|
|
形状公差 |
真直度 |
否 |
⏤ |
|
形状公差 |
平面度 |
否 |
⏥ |
|
形状公差 |
真円度 |
否 |
○ |
|
形状公差 |
円筒度 |
否 |
名称:円筒度記号(JIS B 0021 表1) |
|
形状公差 |
線の輪郭度 |
否 |
⌒ |
|
形状公差 |
面の輪郭度 |
否 |
⌓ |
|
姿勢公差 |
平行度 |
要 |
名称:平行度記号(JIS B 0021 表1) |
|
姿勢公差 |
直角度 |
要 |
⊥ |
|
姿勢公差 |
傾斜度 |
要 |
∠ |
|
姿勢公差 |
線の輪郭度 |
要 |
⌒ |
|
姿勢公差 |
面の輪郭度 |
要 |
⌓ |
|
位置公差 |
位置度 |
要・否 |
⌖ |
|
位置公差 |
同心度(中心点に対して) |
要 |
◎ |
|
位置公差 |
同軸度(軸線に対して) |
要 |
◎ |
|
位置公差 |
対称度 |
要 |
⌯ |
|
位置公差 |
線の輪郭度 |
要 |
⌒ |
|
位置公差 |
面の輪郭度 |
要 |
⌓ |
|
振れ公差 |
円周振れ |
要 |
名称:円周振れ記号(JIS B 0021 表1) |
|
振れ公差 |
全振れ |
要 |
名称:全振れ記号(JIS B 0021 表1) |
線の輪郭度と面の輪郭度は、形状・姿勢・位置の3区分に載っています。データムが不要なのは形状公差、必要なのは姿勢公差と位置公差。
位置度だけは、表1の記載が「要・否」。同心度と同軸度は同じ二重円の記号で、表では特性名が区別の手がかり。
付加記号の名称
表2には、公差付き形体指示、データム指示、データムターゲット、理論的に正確な寸法、突出公差域、最大実体公差方式、最小実体公差方式、自由状態(非剛性部品)、全周(輪郭度)、包絡の条件、共通公差域が付加記号として載っています。
データムの記入方法は、JIS B 0022:1984(幾何公差のためのデータム)が定めています。
出典:kikakurui「JIS B 0021:1998 製品の幾何特性仕様(GPS)―幾何公差表示方式―形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式」(5 記号 表1 幾何特性に用いる記号・表2 付加記号)
出典:JSA Webdesk「JIS B 0022:1984 幾何公差のためのデータム」
表面性状の図示記号の種類|基本・除去加工・要求事項の指示
JIS B 0031:2003は、表面性状の図示記号を、基本図示記号・除去加工の図示記号・表面性状の図示記号の3段階で定めています。
3段階のうち、要求事項を指示できるのは最後の段階です。国際規格のISO 1302:2002に対応する規格です。
基本図示記号は要求事項の指示にならない
基本図示記号は、対象面を示す線に対して約60°傾いた、長さの異なる2本の直線で構成します。表面性状の要求事項がない基本図示記号だけでは、要求事項の指示になりません。
除去加工をする場合としない場合の図示記号
対象面に機械加工のような除去加工をするときの図示記号は、基本図示記号に横線を付けた形です。除去加工をしないときは、基本図示記号に丸記号を付けます。
基本図示記号に要求事項が指示されていれば、除去加工の有無は問いません。
要求事項を指示する図示記号
要求事項を指示する図示記号は、基本図示記号か除去加工の図示記号の長い方の斜線に、直線を付けたもの。
出典:kikakurui「JIS B 0031:2003 製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状の図示方法」(3 用語及び定義・4.2 基本図示記号・4.3 除去加工の図示記号・4.4 表面性状の図示記号)
シェアリングファクトリーについて
シェアリングファクトリーは、遊休機器を別の会社で活かす、企業間の物品直接売買サービスです
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工作機械の売買・導入でお困りの際は、シェアリングファクトリーへお気軽にお問い合わせください。
出典:シェアリングファクトリー株式会社 公式サイト トップ(「シェアリング ファクトリーとは。」)
機械加工の図面記号についてよくある質問
Q1. 図面の三角記号(▽)は、いまの表面性状の図示記号と同じものですか?
JIS B 0031:2003は、三角記号を図示記号として規定していません。
現行の図示記号は、基本・除去加工・表面性状の3段階の構成です。
Q2. 寸法記入の一般原則は、どの規格で定められていますか?
JIS Z 8317-1:2008が、すべての工業分野での製図に用いる寸法及び公差記入方法の一般原則を定めています。
寸法記入法のルール、特殊なルール及び詳細事項は、土木ではJIS A 0101、建築ではJIS A 0150、機械ではJIS B 0001にあります。
Q3. 平行度の記号は「∥」と同じですか?
平行度の記号の字形は、垂直2本線の「∥」とは別。
JIS B 0021の表1が示す平行度の記号は、右上がりの斜め2本線です。表1では姿勢公差に属し、データム指示は「要」です。
Q4. 個々に公差を指示しない寸法の公差(普通公差)は、どの規格で定められていますか?
個々に公差の指示がない長さ寸法と角度寸法の公差は、JIS B 0405:1991が定めています。
個々に指示がない形体の幾何公差は、JIS B 0419:1991の範囲です。
Q5. 機械製図の規格JIS B 0001は、何に適用されますか?
JIS B 0001:2019は、JIS Z 8310に基づき、機械工業の分野で使用する、主として部品図及び組立図の製図について規定した規格です。
出典:kikakurui「JIS B 0031:2003 製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状の図示方法」(3 用語及び定義 図示記号の定義)
出典:kikakurui「JIS Z 8317-1:2008 製図―寸法及び公差の記入方法―第1部:一般原則」(1 適用範囲)
出典:kikakurui「JIS B 0021:1998 製品の幾何特性仕様(GPS)―幾何公差表示方式―形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式」(5 記号 表1 平行度)
出典:kikakurui「JIS B 0405:1991 普通公差―第1部:個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差」(表1)
出典:kikakurui「JIS B 0419:1991 普通公差―第2部:個々に公差の指示がない形体に対する幾何公差」
出典:kikakurui「JIS B 0001:2019 機械製図」(1 適用範囲)
まとめ:機械加工の図面記号は、寸法補助記号と幾何特性記号を規格の表で引けば読み違いを防げる
機械加工の図面記号は、寸法補助記号をJIS B 0001の表7、幾何特性の記号をJIS B 0021の表1で引けば、意味と呼び方を確かめられます。
Cの記号は45°の面取りだけに使え、ざぐりと皿ざぐりの記号は記入位置が違い、幾何特性ではデータムの要否が公差の種類ごとに決まっています。
手元の図面で読めない記号を、寸法補助記号と幾何特性に分けて、該当する表で確かめましょう。
工作機械の売買・導入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
