工作機械の世界シェアは、生産・消費・輸出のどれで見るかで国の順位が変わります。集計元(ドイツのVDWと日本のJMTBA)や年が違えば、数字も別物です。
国別の順位と日本の位置、中古工作機械の売買・導入での数字の読み方を、統計の出所とあわせて解説します。
工作機械の世界シェアは集計元ごとに単位と年が違う
通貨・年・対象は、集計する団体ごとに異なる点が数字を読むうえでの前提です。
VDW(ドイツ工作機械工業会)の国別シェアはユーロ建て・2025年分
VDW(ドイツ工作機械工業会)は、生産・消費・輸出の国別の数字をプレスリリースで示しています。
2026年3月公表の発表は2025年(暦年)分で、金額はユーロ建てです。
JMTBA(日本工作機械工業会)の生産・輸出統計は円建て
JMTBA(日本工作機械工業会)は、日本国内の生産額と輸出額を円建てで公表しています。
生産は経済産業省の生産動態統計、輸出は財務省の貿易統計に由来する数字です。VDWの割合とは、集計主体も通貨も別です。
出典:日本工作機械工業会「工作機械主要統計(2026年8月分)」Ⅲ(2026年9月30日公表/PDF 3ページ目 表見出し「経済産業省“生産動態統計” 及び 財務省“貿易統計”」)
工作機械の世界シェアは生産で中国が最大、日本は3位圏
VDWの発表では、世界の生産は少数の国に集中しています。
VDWの集計でみる2025年の国別生産シェア
VDWの集計では、2025年の世界の工作機械生産に占める割合は、中国が37%、ドイツが12%、日本が10%、米国が9%、イタリアが7%です。
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国 |
世界の生産に占める割合(VDW・2025年) |
|---|---|
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中国 |
37% |
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ドイツ |
12% |
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日本 |
10% |
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米国 |
9% |
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イタリア |
7% |
Gardnerの調査(Survey 2024版)でみる生産額順位
JMTBAの英語版統計集は、Gardner Publications, Incの「World Machine Tool Output & Consumption Survey 2024」を引いています。
この調査では、工作機械の生産額(金属切削と成形の合計)は、中国が15年連続の1位、ドイツが2年連続の2位、日本が3位でした。VDWの2025年の割合とは、調査主体が別です。
出典:日本工作機械工業会「Machine Tool Industry Japan 2025」p.8 Machine Tool Production(PDF 1ページ目 本文最終段落)
消費と輸出では上位の国が変わる
消費は中国と米国が上位(VDW)
VDWの集計では、2025年の世界の消費に占める割合は、中国が約32%、米国が14%です。
中国の市場規模は252億ユーロで、前年から5%増えました。米国は111億ユーロです。
ドイツは5.7%で、インドの5.4%をわずかに上回ります。
輸出は中国がドイツを初めて上回った(VDW)
VDWの発表では、2025年に中国の輸出額が前年比13%増の86億ユーロと過去最高になり、ドイツの70億ユーロ(同10%減)を初めて上回りました。
日本の位置づけは歴史と円建て統計の両方で読む
日本は1982年に生産額で世界1位となり27年連続で保った
JMTBAの解説ページによると、日本は国・地域別の生産額で1982年に米国を抜いて世界1位となり、その後27年連続でその地位を保ちました。
その後の順位は、上で紹介したGardner(Survey 2024版)とVDW(2025年)の数字で確認できます。
旋盤を中心にした歴史は、「旋盤の歴史|ねじ切り旋盤の先駆けから日本の国産化、NC化までを解説」にまとまっています。
出典:日本工作機械工業会「日本の工作機械産業のあゆみ」(ページ本文 冒頭の第2段落)
円建てでみる日本の生産額と輸出額(2026年10月時点)
JMTBAの「工作機械主要統計(2026年8月分)」では、2025年(暦年)の生産額が9,826億4,500万円(前年比9.0%増)、輸出額が8,453億5,500万円(同11.0%増)です。
VDWの日本10%とは別の根拠です。
出典:日本工作機械工業会「工作機械主要統計(2026年8月分)」Ⅰ・Ⅲ(2026年9月30日公表/PDF 1ページ目 主要統計Ⅰの行「25年」・3ページ目 主要統計Ⅲの「生産計」「輸出計」行「25年」)
数値は毎月更新され、遡及修正される場合があります(2026年10月時点)。
出典:日本工作機械工業会「統計情報」(工作機械主要統計の掲載ページ・公表予定日)/同「工作機械主要統計(2026年8月分)」Ⅰの注1(PDF 1ページ目)
見かけの輸出比率は生産と輸出の対象が揃わない
2024年のJMTBA公表値では、見かけの輸出比率(輸出額÷生産額×100)は84.5%でした。
生産額は事業所の規模で対象が限られ、輸出額は新品に加えて中古の工作機械も含むため、分子と分母の対象が揃っていない比です。
出典:日本工作機械工業会「Machine Tool Industry Japan 2025」p.10 Machine Tool Exports(PDF 1ページ目 本文最終段落)
企業ごとに比べるなら各社の売上高を見る
VDWが示す割合(生産・消費)は、国ごとの数字です。
企業ごとに比べたい場合の見方は、「工作機械メーカーの国内ランキング|売上高の見方と比較を解説」にまとまっています。
世界シェアを中古工作機械の売買・導入に生かす見方
世界シェアの数字だけでは、どの機種を選ぶかは決まりません。
機種を選ぶ前に整理しておきたい条件は、加工する工作物の材質と寸法、求める精度、設置場所の広さです。
中古機では、保守や修理の相談先も、購入前に確認しておきたい項目です。選定の流れは、「中古工作機械の選び方|種類・購入ルート・導入時の注意点を解説」にまとまっています。
海外への搬出や輸出を考える場合は、「工作機械の買取前に整理する機械情報・搬出の資格・輸出の許可義務を解説」も確認してください。
シェアリングファクトリーについて
シェアリングファクトリーは、遊休機器を別の会社で活かす、企業間の物品直接売買サービスです
(2026年10月時点)。売買や導入を相談するときは、機械の仕様と設置場所の条件を伝えると話が進めやすくなります。
工作機械の売買・導入でお困りの際は、シェアリングファクトリーへお気軽にお問い合わせください。
出典:シェアリングファクトリー株式会社 公式サイト トップ(「シェアリング ファクトリーとは。」)
工作機械の世界シェアについてよくある質問
Q1. 中国とドイツの工作機械の生産額はいくらですか?
VDWの発表では、2025年の中国の生産額(部品・付属品を除く)は約300億ユーロで過去最高、ドイツは94億ユーロです。
Q2. 世界の工作機械の輸出額は全体でどれくらいですか?
VDWの発表では、2025年の世界の工作機械の輸出額は約414億ユーロで、前年から約3%減りました。
Q3. 日本の工作機械の輸出額は、2024年は国別でどこが多かったですか?
JMTBAの英語版統計集では、2024年は中国が2,053億円で首位です。
2年ぶりに米国(1,784億円)を抜き、インド(466億円)、韓国(307億円)、タイ(286億円)が続きました。
出典:日本工作機械工業会「Machine Tool Industry Japan 2025」p.10 Machine Tool Exports(PDF 1ページ目 本文第1〜2段落)
Q4. 日本の工作機械の生産額は、2024年にどう変わりましたか?
JMTBAの英語版統計集では、2024年の生産額は9,013億円で、前年比14.3%減でした。
3年ぶりに1兆円を下回っています。
出典:日本工作機械工業会「Machine Tool Industry Japan 2025」p.8 Machine Tool Production(PDF 1ページ目 本文第1段落)
Q5. 外需受注比率は、見かけの輸出比率と同じ値ですか?
外需受注比率は受注額の内訳の比で、輸出額と生産額の比である見かけの輸出比率とは別の値です。
JMTBAの英語版統計集では、2024年の外需受注比率は70.3%でした。
出典:日本工作機械工業会「Machine Tool Industry Japan 2025」p.10 Machine Tool Exports(PDF 1ページ目 本文最終段落)
まとめ:世界シェアは集計元と年をそろえて読み、生産は中国が最大と押さえよう
工作機械の世界シェアは、生産・消費・輸出で顔ぶれが変わり、VDWの集計では2025年の生産は中国が最大です。
数字は集計元・年・通貨をそろえて読みます。日本の位置は、VDWの割合とJMTBAの円建て統計を、別の根拠として見ます。
用途と条件を整理してから、中古機の売買・導入を相談しましょう。
工作機械の売買・導入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
