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どんな機械なのか、方式や機種をどう見分けるか、中古の出品情報は何を見るかで迷いやすいところです。内面研削盤は穴の内面を削る研削盤で、方式の区分や出品欄の項目名がメーカーごとに違う設備です。

方式・片持ち支持・用途・機種例・中古の出品情報の読み方を解説します。

内面研削盤とは:穴の内面を削る研削盤

セイコーインスツルは、内面研削を「筒状の工作物の内面を研削する加工法」、内面研削盤を「内面研削を行う設備」と説明しています。

内面研削盤は、筒状の工作物(ワーク=加工する対象物)の穴の内側を、砥石(削る工具)で削る研削盤です。

平らな面を削るのは平面研削盤で、「平面研削盤とは?種類・仕組み・メーカーを工作機械のプロが解説」にまとまっています。

読み方や種類、切削や研磨との違いなど研削盤全般は、「研削盤とは?読み方・種類・切削や研磨との違いを解説」が扱っています。

出典:セイコーインスツル株式会社 コラム「研削盤」(研削盤の種類 2.内面研削盤)

出典:株式会社ジェイテクト「CNC内面研削盤 GE4i-INTER」(ページ冒頭の見出し)

内面研削盤の方式の区分:メーカーごとの分け方

普通型:工作物と砥石の両方を回転させる

セイコーインスツルは、内面研削盤を主に普通型とプラネタリ型に分類しています。同社の説明では、普通型は工作物と砥石の両方を回転させながら、砥石を前後運動させて加工する方式で、高い精度を実現できます。

プラネタリ型:工作物を固定して砥石だけを回転させる

セイコーインスツルの説明では、プラネタリ型は工作物を固定した状態で砥石だけを回転させる方式です。

加工精度は普通型より劣るものの、普通型で難しい大きな工作物や丸物以外の不安定な形状に対応できるため、用途に応じて使い分けられていると説明しています。

クレトイシの方式名:普通形・プラネタリ形・センタレス形・シュー形

クレトイシは内面研削の方式名として「普通形」「プラネタリ形」「センタレス形」「シュー形」を並べます。表記は、セイコーインスツルの「型」ではなく「形」の字。

トーヨーエイテックの区分:チャックタイプとセンタレスタイプ

トーヨーエイテックの横形内面研削盤は、「チャックタイプ」と「センタレスタイプ」の2区分があります。チャックは、工作物をつかんで保持する部品です。

同社はセンタレスタイプを、外径と内径の同心度(両方の中心がそろっている度合い)を求められる軸受などの加工に最適としています。

支持方式の記載は「1シュー・2ローラ」「2シュー・マグネット」です。

セイコーインスツルの「2ロール1シュー主軸」

セイコーインスツルは、同期回転する2つのロールでワークの外径を挟んで回転させ、固定されたシューに外径を倣わせて内径を加工する構造を「2ロール1シュー主軸」と呼んでいます。

出典:セイコーインスツル株式会社 コラム「研削盤」(研削盤の種類 2.内面研削盤の普通型・プラネタリ型)

出典:クレトイシ株式会社「研削加工の種類」(内面研削の方式名「普通形」「プラネタリ形」)

出典:トーヨーエイテック株式会社「横形内面研削盤(チャックタイプ)」(製品一覧のセンタレスタイプ・チャックタイプの説明。原文表記は「ローラ」)

出典:セイコーインスツル株式会社 コラム「薄肉ワークの高精度加工を実現」(STG-6Nロール主軸仕様の特徴と事例)

内面研削盤の砥石まわり:片持ち支持とドレッシング

内面研削の砥石まわりの要点は、砥石が片持ち支持になることと、砥石の手入れ作業(ドレッシング)の2つ。

砥石が片持ち支持になる:微小穴で精度を確保しにくい理由

セイコーインスツルは、内面研削が加工手法の特徴から、砥石部分が「片持ち支持」(一端だけで支える形)になると説明しています。

そのため、砥石を支える軸の剛性不足、加工速度、砥石の切れ味の変化に課題が残るとしています。同社によると、微小穴の加工は、砥石を支える軸の剛性がより低くなってたわみが大きくなるため、寸法精度や形状精度の確保がとても難しい加工です。

ドレッシング:砥石の切れ味を戻す目直し

ノリタケは、ドレッシング(目直し)を、形直し後に砥粒(切れ刃となる細かい粒)の突き出し量を調整したり、鈍化した砥粒の切れ刃を創生したりする作業と説明しています。

クレトイシは、目づまりや目つぶれをした砥石面を排除し、新しい鋭い切刃を出す作業としています。砥石を所定の形に仕上げるツルーイング(形直し)とは別の作業です。

出典:セイコーインスツル株式会社 コラム「内面研削盤」(さまざまな業界で内面研削盤の性能向上が求められている/事例3)

出典:クレトイシ株式会社「Navigator」(4-1 ツルーイングとドレッシング)

出典:ノリタケ株式会社「ツルーイング・ドレッシング」(冒頭「ツルーイングとドレッシング」)

内面研削盤の用途:メーカー公式の機種名つきの使われ方

用途は、2026年10月時点の各社公式ページの記載にもとづきます。最新の機種構成は、各社の公式ページで確認してください。

軸受(ベアリング)の内面研削

ジェイテクトマシンシステムは、KIH80Ⅱをベアリングの内面研削向けの機種として掲載しています。

セイコーインスツルの機種は、ミニチュアボールベアリング用がSG1-OR/IB、小径ボールベアリング用がSIG02αⅡ、並径ボールベアリング用がSIG03α/SG03α-IRです。

自動車部品の内面研削

セイコーインスツルは、自動車部品(噴射ノズル)用の内面研削盤としてSIG-SⅡ(SIG-SF)を載せています。

ミクロン精密は、同社の内面研削盤がインジェクター(燃料噴射装置)部品の加工をはじめ広く採用されていると説明しています。

岡本のIGM1Vは、自動車部品等の中ロット量産加工分野向けです。

金型・長尺物・硬い材料の内面研削

岡本は、IGM15NCⅢの例に冷間鍛造の金型を挙げ、IGM2TNCⅢを主軸・シリンダなど長尺物の内面研削に最適としています。

S121 Radiusは、STUDERがタングステンカーバイド、セラミックス、サファイアなど非常に硬い材料の複雑な工作物の研削に特に適するとする機種です。

小径穴・中径穴の部品用の汎用機:セイコーインスツルのSTG-3NXとSTG-6N

セイコーインスツルは、STG-3NXを小径穴部品用、STG-6Nを中径穴部品用の汎用内面研削盤として載せています。同社のSTG-6Nの加工事例には、歯車の内径も挙がっています。

出典:株式会社ジェイテクトマシンシステム「内面研削盤 KIH80Ⅱ」(内面研削盤セクションの製品説明)

出典:セイコーインスツル株式会社「グリーン商品一覧」(工作機械/スピンドルの機種・概要欄)

出典:ミクロン精密株式会社 トップページ(Products 製品情報の内面研削盤の説明)

出典:岡本工作機械製作所「CNC精密内面研削盤 IGM15NCⅢ」(製品ページの特徴・加工例)

出典:岡本工作機械製作所「CNC精密内面研削盤 IGM2TNCⅢ / IGM2TNC-4SP」(製品ページのコンセプト)

出典:岡本工作機械製作所「CNC小型立形内面研削盤 IGM1V」(製品ページのコンセプト)

出典:UNITED GRINDING Group「STUDER S121 Radius」(製品ページの機種紹介文・英語)

出典:セイコーインスツル株式会社「内面研削盤 STGシリーズ」(MACHINING RESULTS 加工実績)

メーカー別の内面研削盤の機種例

仕様は2026年10月時点の各社公式ページの記載で、最新の仕様はメーカー公式で確認してください。

岡本工作機械製作所の内面研削盤の区分と中古機の確かめ方は「岡本工作機械製作所とは?研削盤の区分と中古機の確かめ方を解説」を参照してください。

ジェイテクトグループ:KIH80Ⅱ

ジェイテクトマシンシステムはジェイテクトの国内グループ会社で、KIH80Ⅱは両社が掲載しています。

KIH80Ⅱの加工範囲は I.D.(Max.)(最大内径)φ10〜φ80mm、砥石寸法は O.D.(Max.)(最大外径)φ50mmです。

ジェイテクト:GE4i-INTER

CNC内面研削盤 GE4i-INTERの公式の表では、「テーブル上振り」がφ320[φ400]mm、「センタ間距離」が500/1,000/1,500/2,000mm、「加工内径」がφ150mmです。

ミクロン精密:MIG-R10P-A1

ミクロン精密の公式一覧は、MIG-R10P-A1をセンタレス方式の内面研削盤として載せています。項目は、最大ID 10mm、最大外径 20mm、最大長さ 15mmです。

STUDER:S121

STUDERのS121カタログ(英語)は、S121を単品・小ロット生産の中型の工作物向けのCNC universal internal cylindrical grinding machineと説明しています。

同カタログには、テーブル上の振り径400mm、工作物の直径は最大360mm、チャックを含む工作物の長さは最大300mm、内面の研削長さは最大175mmと記載されています。

出典:株式会社ジェイテクト「研削盤 製品一覧」(CNC内面研削盤 GE4i-INTER・内面研削盤 KIH80Ⅱの仕様)

出典:株式会社ジェイテクトマシンシステム「内面研削盤 KIH80Ⅱ」(内面研削盤セクションの仕様表)

出典:株式会社ジェイテクト「国内拠点」(国内グループ会社)

出典:ミクロン精密株式会社「内面研削盤一覧」(MIG-R10P-A1のカード)

出典:STUDER「S121カタログ」(p.2 APPLICATIONS・p.16 TECHNICAL DATA の MAIN DIMENSIONS・英語)

中古の内面研削盤:出品情報の読み方

出品情報では、寸法欄の項目名と、方式の記載を照合します。研削といしの安全規則は「研削盤とは?読み方・種類・切削や研磨との違いを解説」を参照してください。

寸法欄の項目名はメーカーごとに違う

KIH80Ⅱは「加工範囲」、GE4i-INTERは「テーブル上振り」「センタ間距離」「加工内径」、ミクロン精密のMIG-R10P-A1は「最大ID」「最大外径」「最大長さ」と、公式の表でも項目名は別々です。

表に定義がない欄(例:KIH80Ⅱの「T」)は、出品者に確認します。

方式の記載と付属装置を確かめる

出品情報に方式名の記載があれば、各メーカーの製品ページで同じ区分かを照合します。ドレッシング装置の有無も確かめる項目です。

実機の状態確認は「中古工作機械の選び方|種類・購入ルート・導入時の注意点を解説」にまとまっています。

出典:株式会社ジェイテクトマシンシステム「内面研削盤 KIH80Ⅱ」(Grinding Capacity 加工範囲の項目名)

出典:株式会社ジェイテクト「研削盤 製品一覧」(GE4i-INTERのテーブル上振り・センタ間距離・加工内径の項目名)

出典:ミクロン精密株式会社「内面研削盤一覧」(最大ID・最大外径・最大長さの項目名)

出典:岡本工作機械製作所「内面研削盤」(といし関連 ドレッシング装置・ツール)

シェアリングファクトリーの中古工作機械の売買

シェアリングファクトリーは、遊休機器を別の会社で活かす、企業間の物品直接売買サービスです

(2026年10月時点)。工作機械を選ぶときは、加工したい工作物の形と大きさを手元で整理しておくと、問い合わせの際に条件を伝えやすくなります。

工作機械の売買・導入でお困りの際は、シェアリングファクトリーへお気軽にお問い合わせください。

出典:シェアリングファクトリー株式会社 公式サイト トップ(「シェアリング ファクトリーとは。」)

内面研削盤についてよくある質問

Q1. 内面研削盤で加工できる形状は?

セイコーインスツルは、内面研削盤では内面だけでなく、多段内面(段のある穴の内面)やテーパー面(傾斜のある面)、端面(工作物の端の面)の加工が可能と説明しています。

加工したい形状に対応するかは、機種の仕様欄や製品ページで確認しましょう。

出典:セイコーインスツル株式会社 コラム「研削盤」(研削盤の種類 2.内面研削盤)

Q2. 工作物の供給と排出を自動化した内面研削盤はありますか?

岡本の公式ページに、IGM15NCⅢ-2 オートローダ仕様があります。

同社は「ワークの供給と排出を自動化、量産加工ワークの生産性を向上するために開発をしました。」と説明しています。

出典:岡本工作機械製作所「CNC内面研削盤:IGM15NCⅢ-2 オートローダ仕様」(製品ページ)

Q3. 岡本やミクロン精密の公式ページに、軸の本数を明記した機種はありますか?

岡本は、IGM15NCⅢ-2Bを「2軸のといし軸」、IGM2TNC-4SPを「といし軸4軸仕様」と書いています。

ミクロン精密の一覧では、MIG-101i(Ui)-A0が「高周波スピンドル最大2本搭載可能」、MIG-101iが「高周波スピンドル最大4本搭載」の記載です。

出典:岡本工作機械製作所「NC精密内面研削盤 IGM15NCⅢ-2B」(製品ページの特徴「2軸のといし軸」)

出典:岡本工作機械製作所「製品ラインナップ」(内面研削盤 IGM2TNCⅢ / IGM2TNC-4SP の「といし軸4軸仕様」)

出典:ミクロン精密株式会社「内面研削盤一覧」(MIG-101i(Ui)-A0・MIG-101iのカード説明文)

Q4. 中古の出品情報に旧社名「光洋機械工業」とあるとき、今はどの会社ですか?

光洋機械工業株式会社は、2022年10月に株式会社ジェイテクトマシンシステムへ商号を変更しました。

出典:株式会社ジェイテクトマシンシステム「光洋の歴史」(2022年10月 商号変更)

Q5. 岡本工作機械製作所とミクロン精密は、内面研削盤をいつ開発しましたか?

岡本は会社沿革に、1954年に「内面研削盤IGMシリーズを開発」と記載しています。

ミクロン精密は「2000年には内面研削盤を開発しました」と書いています。IGMはシリーズ名です。

出典:岡本工作機械製作所「会社沿革」(1954年の項)

出典:ミクロン精密株式会社 技術ニュース「JIMTOF2026 出展機紹介」(本文冒頭の沿革の記述)

まとめ:内面研削盤は方式の区分がメーカーごとに違い、中古は寸法欄の項目名と方式の記載を確かめて選ぼう

内面研削盤は穴の内面を削る研削盤で、方式の区分や寸法欄の項目名はメーカーごとに違います。

セイコーインスツルは普通型とプラネタリ型、トーヨーエイテックはチャックタイプとセンタレスタイプと区分の立て方も表記も同じでないため、中古は出品情報の項目名と方式の記載を製品ページや出品者に照合して確かめます。

加工したい工作物と使いたい方式を整理し、出品情報の項目と突き合わせましょう。

工作機械の売買・導入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。