立フライス盤で調べても、JISでの呼び名や横フライス盤との違い、各部の名称を一か所にまとめた情報は多くありません。
JIS B 0105の用語では、主軸が垂直のものを立て、水平のものを横と区分する決まりです。この区分を軸に、部品の名称と大きさの表し方、メーカー公式の掲載例、中古で書き出す項目を解説します。
立フライス盤は主軸が垂直の機械で、JIS B 0105の用語では「立てフライス盤」
JIS B 0105:2012の用語では、主軸(フライスを取り付けて回転させる軸)が垂直のものを立てフライス盤、水平のものを横フライス盤と区分します。
同規格の本文に「立フライス盤」の表記はなく、機械名は「立てフライス盤」です。JIS B 0172の改正前の1993年版のように「立フライス盤」を使う規格もあり、規格ごとに表記が異なる場合があります。
JIS B 0105は2012年5月21日の改正で、JSAの書誌上の状態は2026年10月時点で「有効」。
フライス盤そのものの種類や加工方法は、「フライス盤とは?種類・加工方法・旋盤との違いをわかりやすく解説」にまとまっています。
出典:JSA Webdesk「JIS B 0105:2012 工作機械-名称に関する用語」(3 用語及び定義 e) フライス盤 05101・05102の注記/書誌:状態 有効)
出典:JSA Webdesk「JIS B 0172:2026 フライス用語」(書誌:状態 有効・発行年月日 2026-05-20/引用は改正前1993年版「4. 用語及び定義」(1.4) 正面フライス)
ベッド形と膝形で立てフライス盤の構造はどう分かれるか
立て・横は主軸の向きの区分で、ベッド形・膝形は構造の区分です。
立てフライス盤にも、ベッド形と膝形があります。
ベッド形立てフライス盤はテーブルをベッドに載せ、切込みをコラム又は主軸頭で行う
ベッド形フライス盤は、テーブルを直接ベッドに載せ、切込み運動をコラム又は主軸頭で行う構造のフライス盤です。主軸が垂直のものを、ベッド形立てフライス盤といいます。
膝形立てフライス盤はニーに載るテーブルが前後・左右に動き、主軸頭が旋回又は上下するものもある
膝形フライス盤は、コラムに沿って上下するニー(昇降する台)の上にサドルを介してテーブルを載せ、前後・左右に動かす構造です。
主軸が垂直のものが膝形立てフライス盤で、主軸頭が旋回又は上下運動するものもあります。
汎用フライス盤とNCフライス盤の違いは、「汎用フライス盤とは?NCフライス盤との違いと選び方を解説」にまとまっています。
立てフライス盤と横フライス盤の部品用語
部品の用語はJIS B 0106:2016に定義があり、立て・横を限定した語と、限定のない語があります。
コラム・ニー・サドル・テーブルは共通項に置かれた用語
コラム・ニー・サドル・テーブルは、フライス盤の共通項に定義が置かれ、立て・横の限定語が付いていません。
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用語 |
B 0106の定義 |
|---|---|
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コラム(040.3200) |
主軸駆動機構、送り機構などの全部又は一部を内蔵し、機械の本体を構成する柱。 |
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ニー(040.2700) |
テーブル、サドルを載せ、コラムの案内面に沿って上下に移動する台。 |
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サドル(040.2500) |
テーブルを支持し、ベッド、ニーなどの案内面上にまたがり移動する台。 |
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テーブル(040.2400) |
工作物を直接又は各種取付装置を用いて固定し、一般には送り運動又は切削運動を与える台。 |
立てフライス盤の主軸頭と、主として横フライス盤の主軸穴に装着するアーバ
定義に限定語が付くのは、「立てフライス盤で」とある主軸頭と、「主として横フライス盤の」とあるアーバです。
オーバアームとアーバ支えの定義には、立て・横の限定語がありません。主軸やドローバーなど、限定語のない用語も共通項に載っています。
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用語 |
B 0106の定義 |
|---|---|
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主軸頭(040.1300) |
立てフライス盤で、工具を回転する主軸を備えている部分。 |
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アーバ(040.1922) |
主として横フライス盤の主軸穴に装着し、フライスを取り付ける棒。 |
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オーバアーム(040.3401) |
アーバのたわみを防ぐため、アーバ支えを取り付けるはり(梁)。 |
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アーバ支え(040.3909) |
アーバを支える受け。 |
立てフライス盤の大きさの表し方(JIS参考欄)
JIS B 0105は、機械の大きさの表し方を機種ごとに参考欄へ記載しています。
膝形の参考欄に入るのはテーブルの上下の移動量で、ベッド形の参考欄に入るのは主軸頭又はクイルの移動量です。
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形式(用語番号) |
参考欄の記載 |
|---|---|
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ベッド形フライス盤(05101) |
テーブルの大きさ、テーブルの左右移動量、主軸頭又はクイルの移動量、及びテーブル上面から主軸端面までの距離 |
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膝形フライス盤(05102) |
テーブルの大きさ、テーブルの左右・前後・上下の移動量及びテーブル上面から主軸端面までの距離 |
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万能フライス盤(05103) |
膝形フライス盤又はベッド形フライス盤に準じる |
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卓上フライス盤(05104) |
膝形フライス盤に準じる |
横フライス盤の専用の項はなく、横もベッド形と膝形の項に従います。
出典:JSA Webdesk「JIS B 0105:2012 工作機械-名称に関する用語」(3 用語及び定義 e) フライス盤 05101・05102・05103・05104 の機械の大きさの表し方)
メーカー公式サイトの掲載例(2026年10月時点)
メーカーの製品名と規格の用語とでは、表記が異なる場合もあります。公式ページで確認できた静岡鐵工所の掲載例を、以下にまとめました。
静岡鐵工所の「立フライス盤」と「横フライス盤」の掲載
静岡鐵工所は、公式サイトの手動フライス盤のページで、「立フライス盤」の機種としてSV-CHとSV-WⅡ、「横フライス盤」の機種としてSP-CHを掲載しています。
JISの「立て形」とは異なり、カタログ分類は「立型」「横型」です。主仕様比較の表には、テーブル作業面、移動量、主軸穴などの項目が並びます。
タレット形と立横複合フライス盤の機種区分の掲載
同社は、タレット形の機種として、精密タレット形立フライス盤VHR-SDとタレット形立フライス盤VHR-Aを載せています。
立軸と横軸の両方をもつ機種は、タレット形立横複合フライス盤VHR-Gとして掲載されたものです。
出典:株式会社静岡鐵工所「手動フライス盤」(製品ラインアップ・主仕様比較・カタログ分類)
中古の立フライス盤を探す前に書き出す項目
書き出す項目は、規格の参考欄とメーカーの主仕様比較表の項目名から選べます。
形式名は、JISのベッド形・膝形とメーカーの表記の両方を控えておきましょう。
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項目 |
確認する場所 |
|---|---|
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テーブルの大きさ |
JIS B 0105の参考欄/メーカーの表では「テーブル作業面」 |
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移動量 |
JIS B 0105の参考欄/メーカーの表の「移動量」 |
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テーブル上面から主軸端面までの距離 |
JIS B 0105の参考欄 |
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主軸穴 |
メーカーの主仕様比較表 |
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主軸回転速度・主軸モータ・機械質量 |
メーカーの主仕様比較表 |
中古工作機械の購入ルートや導入時の注意点は、「中古工作機械の選び方|種類・購入ルート・導入時の注意点を解説」にまとまっています。
出典:JSA Webdesk「JIS B 0105:2012 工作機械-名称に関する用語」(3 用語及び定義 e) フライス盤 05101・05102 の機械の大きさの表し方)
出典:株式会社静岡鐵工所「手動フライス盤」(主仕様比較の項目名)
シェアリングファクトリーについて
シェアリングファクトリーは、遊休機器を別の会社で活かす、企業間の物品直接売買サービスです
(2026年10月時点)。工作機械を選ぶときは、加工したい工作物の形と大きさを手元で整理しておくと、問い合わせの際に条件を伝えやすくなります。
工作機械の売買・導入でお困りの際は、シェアリングファクトリーへお気軽にお問い合わせください。
出典:シェアリングファクトリー株式会社 公式サイト トップ(「シェアリング ファクトリーとは。」)
立フライス盤についてよくある質問
Q1. ラム形のフライス盤とは何ですか?
ラム形は、ラムに取り付けた主軸頭が前後運動する膝形フライス盤です。
JIS B 0105:2012の05102の注記1に、そうしたものもあると記載されています。「ラム型」ではなく、規格の語は「ラム形」です。
出典:JSA Webdesk「JIS B 0105:2012 工作機械-名称に関する用語」(3 用語及び定義 e) フライス盤 05102 膝形フライス盤の注記1)
Q2. 横フライス盤で立てフライス盤の作業はできますか?
JIS B 0106:2016は、バーチカルアタッチメントを「横フライス盤で、立てフライス盤の作業をさせる装置」と定義しています。
静岡鐵工所は、横フライス盤SP-CHのオプションとして掲載しています(2026年10月時点)。
出典:JSA Webdesk「JIS B 0106:2016 工作機械-部品及び工作方法-用語」(4 用語及び定義 a) 部品 4) フライス盤 4-0) 共通 040.1928 バーチカルアタッチメント)
出典:株式会社静岡鐵工所「手動フライス盤」(SP-CHの特長文)
Q3. 万能フライス盤は立形と横形のどちらですか?
万能フライス盤の定義は旋回できる構造を述べたもので、主軸の向きは含まれていません。
JIS B 0105:2012の05103は、「テーブルを水平面内で旋回可能としたフライス盤、又は主軸頭を旋回可能にしたフライス盤」と定義しています。
出典:JSA Webdesk「JIS B 0105:2012 工作機械-名称に関する用語」(3 用語及び定義 e) フライス盤 05103 万能フライス盤)
Q4. マシニングセンタにも立て形と横形がありますか?
マシニングセンタにも、主軸が垂直の立て形と、水平の横形があります。
根拠は、JIS B 0105:2012の07300の注記(機械の構造による区分)。数値制御フライス盤とは、別の項で定義されています。
Q5. 正面フライスの定義に出てくる「立フライス盤」とは何ですか?
JIS B 0172の改正前(1993年版)は、正面フライスを「主として立フライス盤で平面切削に用いるフライス」と定義していました。
B 0172のこの語は「立フライス盤」、B 0105の語は「立てフライス盤」で、規格間で表記が異なります。
正面フライスと機械名の関係は、「正面フライス盤の意味|JISで見る機械名・工具名・加工名の違いを解説」にまとまっています。
出典:JSA Webdesk「JIS B 0172:2026 フライス用語」(書誌:状態 有効・発行年月日 2026-05-20/引用は改正前1993年版「4. 用語及び定義」(1.4) 正面フライス)
まとめ:立フライス盤はJIS B 0105の用語では「立てフライス盤」で、横との違いは主軸の向きで確認できる
立フライス盤は、JIS B 0105の用語では主軸が垂直の「立てフライス盤」にあたり、水平のものが横フライス盤です。
部品の用語には、立て・横の別なく使うコラムやニーなどと、「立てフライス盤で」の主軸頭や「主として横フライス盤の」アーバのように限定語が付くものがあります。
大きさの表し方は、ベッド形と膝形で参考欄の項目が異なります。
探している機種の形式と、参考欄やメーカーの仕様表の項目を書き出して整理しましょう。
工作機械の売買・導入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
