正面フライス盤で調べても、機械の説明が見つからず工具の記事ばかり出てくることがあります。
JIS B 0105のフライス盤の用語に同名の機械はなく、正面フライスは工具、正面フライス削りは工作方法の名前です。
別々の規格が受け持つこの3つの語を整理し、フライス盤の区分と大きさの表し方まで解説します。
正面フライス盤はJISの機械名にない
JIS B 0105:2012(工作機械-名称に関する用語)に、正面フライス盤という機械名はありません。
フライス盤の用語は載っていますが、「正面」を冠した機械名は旋盤の分類にある正面旋盤だけです。
フライスは、主軸とともに回転する工具です。規格の機械名に載っていないというだけで、現場や各社が慣用的にその語を使うことまでは否定しません。
機械の名称はJIS B 0105、工作方法はJIS B 0106が受け持ちます。JIS B 0106の適用範囲には「なお,工作機械の名称に関する用語は,JIS B 0105 による。」とあります。
工具の正面フライスは、JIS B 0172『フライス用語』に収められた用語です。
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語 |
何を指すか |
受け持つ規格 |
|---|---|---|
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フライス盤 |
機械 |
JIS B 0105 |
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正面フライス盤 |
機械名としては載っていない |
JIS B 0105に機械名としてはない |
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正面フライス |
工具 |
JIS B 0172 |
|
正面フライス削り |
工作方法 |
JIS B 0106 |
フライス盤そのものの種類や加工方法は、「フライス盤とは?種類・加工方法・旋盤との違いをわかりやすく解説」にまとまっています。
出典:JSA Webdesk「JIS B 0105:2012 工作機械-名称に関する用語」(3 用語及び定義 e) フライス盤 05000〜05606/b) 旋盤 02901 正面旋盤)
出典:JSA Webdesk「JIS B 0106:2016 工作機械-部品及び工作方法-用語」(1 適用範囲)
出典:JSA「JIS B 0172 フライス用語」改正原案(音声読上げ用PDF)(番号4114 正面フライス)
正面フライスと正面フライス削りの規格上の扱い
工具の正面フライスと加工の正面フライス削りは、それぞれ別の規格の担当です。
工具「正面フライス」はJIS B 0172『フライス用語』の改正原案に収められている
2026年改正の原案では、「正面フライス」が番号4114の用語として収められています。
JSAの書誌では、現行はJIS B 0172:2026(2026年5月20日改正)で、状態は「有効」となっています。
JIS B 0172が対象にするのは、主として金属切削用として一般に用いるフライスの用語と定義です。
改正理由書によると、改正では最新技術に対応した用語の追加と見直しを行います。
出典:JSA Webdesk「JIS B 0172:2026 フライス用語」(書誌:状態 有効・発行年月日 2026-05-20)
出典:JSA「JIS B 0172 フライス用語」改正原案(音声読上げ用PDF)(5 用語及び定義 4114 正面フライス)
出典:JSA「JIS規格 改正理由書(2025年12月17日現在)」(B0172 フライス用語の欄)
工作方法「正面フライス削り」はJIS B 0106で定義される
JIS B 0106:2016は、工作方法の用語として「正面フライス削り」を「正面フライスを用いて行うフライス削り」と定義しています。
同じ群には、平フライス削り、側フライス削り、総形フライス削りなどが並びます。JSAの書誌上の状態は有効で、直近の確認は2026年6月です。
出典:JSA Webdesk「JIS B 0106:2016 工作機械-部品及び工作方法-用語」(4 用語及び定義 b) 工作方法 正面フライス削り)
フライス盤の区分をJIS B 0105の用語から整理する
JIS B 0105のフライス盤は、「フライスを使用して,平面削り,溝削りなどの加工を行う工作機械」です。数値制御によって運転するものを、特に数値制御フライス盤といいます。
下位には、ベッド形や膝形、プラノミラーなど14の用語が定義されています。
ベッド形と膝形は主軸の向きで立て・横に分かれる
ベッド形は、テーブルを直接ベッドに載せる構造のフライス盤です。膝形は、上下するニー(昇降する台)の上にテーブルを載せる構造です。
どちらも、主軸(フライスを取り付けて回す部分)が水平のものを横、垂直のものを立てと呼びます。
万能・卓上・プラノミラーなどの区分
万能フライス盤は、テーブルか主軸頭を旋回できるものです。卓上フライス盤は、作業台上に据え付けて使う小形のものを指します。
ほかに、プラノミラーや彫刻盤などがあります。
卓上フライス盤の機種は、「卓上フライス盤とは?JISの定義と国内で買える機種の仕様差を解説」にまとまっています。
出典:JSA Webdesk「JIS B 0105:2012 工作機械-名称に関する用語」(3 用語及び定義 e) フライス盤 05000 の定義と注記・05101〜05606 の下位用語)
フライス盤の大きさはJIS B 0105でどう表すか
JIS B 0105は、用語ごとに機械の大きさの表し方を記載しており、区分によって項目が違います。
区分のまとまりは、ベッド形・膝形、プラノミラー、ロータリテーブル形ほかの3つです。
中古の工作機械を探す場合の購入ルートは、「中古工作機械の選び方|種類・購入ルート・導入時の注意点を解説」にまとまっています。
ベッド形と膝形はテーブルと主軸まわりの移動量で表す
ベッド形の表し方は、テーブルの大きさ、テーブルの左右移動量、主軸頭又はクイル(主軸を収めて動く筒)の移動量、テーブル上面から主軸端面までの距離です。
膝形は、テーブルの大きさ、左右・前後・上下の移動量、テーブル上面から主軸端面までの距離で表します。
移動量は、テーブルや主軸が動かせる距離です。
プラノミラーはコラム間距離と工作物質量が入る
プラノミラーの表し方は、コラム間距離、テーブル上面から主軸端面又は主軸中心線までの距離、テーブル移動量、工作物質量です。ベッド形や膝形の表し方には、コラム間距離と工作物質量が入っていません。
ロータリテーブル形は円テーブルの大きさ、万能と卓上は準じる区分
ロータリテーブル形の表し方は、テーブルの大きさです。万能フライス盤は「膝形フライス盤又はベッド形フライス盤に準じる」、卓上フライス盤は「膝形フライス盤に準じる」と記載されています。
シェアリングファクトリーについて
シェアリングファクトリーは、遊休機器を別の会社で活かす、企業間の物品直接売買サービスです
(2026年10月時点)。工作機械を選ぶときは、加工したい工作物の形と大きさを手元で整理しておくと、問い合わせの際に条件を伝えやすくなります。
工作機械の売買・導入でお困りの際は、シェアリングファクトリーへお気軽にお問い合わせください。
出典:シェアリングファクトリー株式会社 公式サイト トップ(「シェアリング ファクトリーとは。」)
正面フライス盤についてよくある質問
Q1. 「フェースミル」は正面フライスと同じ工具ですか?
規格は、フェースミルを正面フライスの別称として併記しています。
2026年改正の原案では、正面フライスの用語に「フェースミルともいう」と注釈が付いています。英語表記は、face milling cutter と face mill の2つです。
出典:JSA「JIS B 0172 フライス用語」改正原案(音声読上げ用PDF)(4114 正面フライス 注釈1)
Q2. 旋盤の「面削り」と正面フライス削りは同じですか?
同じではありません。
JIS B 0106:2016は、面削りを「工作物の端面を平面状にする旋削」と定義しています。旋削は旋盤での切削で、正面フライス削りはフライス削りの一つです。
出典:JSA Webdesk「JIS B 0106:2016 工作機械-部品及び工作方法-用語」(4 用語及び定義 b) 工作方法 面削り)
Q3. 平フライス削りとは何ですか?
平フライス削りは、平フライスを用いて行うフライス削りです。
JIS B 0106:2016は、フライス削りそのものを「フライスを用いて工作物の不要な部分を除去する切削」と定義しています。
出典:JSA Webdesk「JIS B 0106:2016 工作機械-部品及び工作方法-用語」(4 用語及び定義 b) 工作方法 フライス削り・平フライス削り)
Q4. 「端面加工フライス盤」は正面フライス盤のことですか?
同じ語としては扱えません。
静岡鐵工所の公式ページで「端面加工フライス盤」は、大物ワークの端面に穴あけ、タップ、ミーリングを行う専用機の製品名です(2026年10月時点)。
正面フライスで平面を削る機械という説明は、同ページにありません。
出典:株式会社静岡鐵工所「特殊専用機」(EF-800H CNC端面加工フライス盤の説明欄「大物ワークの端面加工に最適な専用機」)
Q5. 「正面旋盤」と正面フライス盤は関係がありますか?
正面旋盤は旋盤の一種で、フライス盤とは別の機械です。
JIS B 0105:2012は、正面旋盤を「水平面内にある主軸に面板を備え,主として正面削りを行う旋盤」と定めています。
正面旋盤の詳細は、「正面旋盤とは?定義・構造・立旋盤との違いを解説」にまとまっています。
出典:JSA Webdesk「JIS B 0105:2012 工作機械-名称に関する用語」(3 用語及び定義 b) 旋盤 02901 正面旋盤)
まとめ:正面フライス盤はJIS B 0105の機械名ではなく、工具と加工の用語として読み分ける
JIS B 0105のフライス盤の用語に正面フライス盤はなく、正面フライスは工具、正面フライス削りは工作方法として別々の規格に収められています。
機械の名称はB 0105、工作方法はB 0106、フライスの用語はB 0172が受け持ちます。フライス盤の区分は構造と主軸の向きで分かれ、大きさの表し方も区分ごとに違う項目です。
資料や図面で見かけた語が機械・工具・加工のどれを指すかを見分け、機械の大きさは区分に合った項目で整理しましょう。
工作機械の売買・導入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
