オークマのNC旋盤を検討しているものの、LB・GENOS Lなど数多くのシリーズからどれを選べばよいか迷っていませんか。
本記事ではオークマ株式会社のNC旋盤ラインナップを系統整理し、独自の制御装置「OSP」の特徴、中古オークマNC旋盤の価格相場と選び方まで、工作機械の専門知見をもとに解説します。
読み終える頃には、自社の加工内容に合った一台を見極める判断基準が身につきます。
オークマ株式会社とはどんな会社か
「オークマ」という社名を工作機械業界で耳にしても、具体的にどんな会社か把握できていない方も多いはずです。まずは会社の実態を押さえておきましょう。
創業から現在までの会社概要
オークマ株式会社は、愛知県丹羽郡大口町に本社を置く工作機械メーカーです。創業は1898年(明治31年)1月、設立は1918年(大正7年)7月と、100年以上の歴史があります。
資本金は180億円(18,000百万円)で、代表取締役社長は家城淳氏です。
従業員数は単体2,396名、連結では4,101名(2026年3月時点)に上り、国内有数の工作機械メーカーとしての規模を誇ります。
NC工作機械メーカーとしての事業内容
オークマの事業内容は、NC旋盤・複合加工機・マシニングセンタ・研削盤といったNC工作機械(数値制御によって自動加工を行う工作機械)に加え、NC装置やFA製品、サーボモータなどの製造・販売にまで及びます。
旋盤単体だけでなく制御装置まで自社開発する点が、オークマの大きな強みです。
マシニングセンタや研削盤まで手がける総合工作機械メーカーであり、旋盤単体から多工程の複合加工まで、加工規模に応じて機種を選べる幅広さがあります。
オークマのNC旋盤ラインナップ(代表シリーズを系統整理)
オークマのNC旋盤は、用途や構造によっていくつかの系統に分かれるのが特徴です。
CNC旋盤(コンピュータ数値制御による自動加工旋盤)の基本的な仕組みは「CNC旋盤とは?NC旋盤との違いや種類・メリット・選び方をわかりやすく解説」でも解説しています。
対向主軸を備え1台で複数工程をこなす区分については「ターニングセンタとは?NC旋盤・マシニングセンタとの違いやメリット・デメリットを解説」も参考になります。
ここでは、オークマならではのシリーズ系統を順に整理していきましょう。
オークマは旋盤に加えてマシニングセンタ・複合加工機・研削盤など幅広い製品カテゴリを展開しており、マシニングセンタの基礎知識は「マシニングセンターとは?種類・構造・価格をわかりやすく解説」でも整理しています。
最新のラインナップは公式サイトの製品情報ページで確認できます。
1サドルCNC旋盤(LB EX Ⅲ・LB EX Ⅱ・LB・GENOS L)
オークマの1サドルCNC旋盤(1つの刃物台を備えた標準的な構造のCNC旋盤)は、複数の世代・グレードで展開されています。
現行の主力は「LB EX Ⅲ series」(LB2000 EX Ⅲ・LB3000 EX Ⅲ・LB4000 EX Ⅲ)です。
旧世代の「LB EX Ⅱ series」(LB2000 EX Ⅱ・LB2500 EX Ⅱ)も現行機と併存しており、ベーシックな「LB series」(LB35Ⅲ・LB45Ⅲ)、コンパクトな「GENOS L series」(GENOS L250Ⅱ・L400Ⅱ・L2000・L3000)まで、加工規模に応じた選択肢がそろいます。
対向主軸ターニングセンタ・2サドルCNC旋盤(LT EX・LU EX・LU)
1台で複数工程をこなしたい場合は、対向主軸(2つの主軸でワークを受け渡しながら加工する方式)を備えたシリーズが候補になります。
「LT EX series」(LT2000 EX・LT3000 EX)は対向主軸ターニングセンタで、「LU EX series」(LU3000 EX・LU4000 EX・LU7000 EX)は2つの刃物台を持つ2サドルCNC旋盤です。
旧世代の「LU series」(LU35Ⅱ・LU45Ⅱ・LU-S1600)も型式によっては現役で稼働しています。
NC旋盤と複合加工機(MULTUS)の位置づけの違い
オークマの製品にはNC旋盤とは別に「MULTUS」という複合加工機シリーズもあり、両者を混同しないよう区別して理解しておきましょう。
MULTUS U series(U1000/U2000・U3000・U4000・U5000)やMULTUS B series(B200Ⅱ・B250Ⅱ・B300Ⅱ・B400Ⅱ・B550・B750)は、NC旋盤とマシニングセンタの機能を1台に統合した複合加工機であり、狭義のNC旋盤(LB・GENOS L・LT EX・LU EX・LU)とは別カテゴリです。
旋削だけで足りるならNC旋盤、穴あけやフライス加工まで1台で完結させたいなら複合加工機、と用途で使い分けます。
オークマ独自の制御装置「OSP」の特徴
オークマのNC旋盤を語るうえで欠かせないのが、自社開発の制御装置「OSP」です。ここではその技術思想を見ていきます。
「機・電一体」の思想と絶対位置検出・ソフトウェア可変
OSP(オークマ独自のNC装置)は、「NC装置と機械が融合した『機電一体』の世界」を掲げて開発が進められてきました。
「絶対位置検出」の哲学と「ソフトウェア可変」のコンセプトを礎に、『機・電・情一体』『機・電・情・知一体』へと発展させている点が特徴です。
工作機械メーカーが制御装置まで自社で作り込むことで、機械本体と制御ソフトが一体となった精度・操作性を追求しています。
最新世代CNC「OSP suite」と知能化アプリ
最新世代のCNCには「OSP suite [OSP-P300A]」という新世代知能化CNCが採用されています。
アンチクラッシュシステム、サーモフレンドリーコンセプト、ファイブチューニングⅡ、サーボナビ、加工ナビ、主軸ヘッドチューニングといった知能化アプリを搭載し、操作性・描画性能・処理速度を高めているのが特徴です。
これらのアプリは工具の衝突回避や加工条件の調整など実作業の支援を狙ったもので、機械と制御を一体で開発するオークマの設計思想を反映しています。
出典:オークマ公式サイト「新世代知能化CNC OSP suite [OSP-P300A]」
オークマの技術的強み「サーモフレンドリーコンセプト」(熱変位制御)
旋盤加工の精度を左右する要因のひとつが、機械の熱による変形(熱変位)です。オークマはこの課題に独自の考え方で向き合っています。
熱変位を”受け入れて制御する”という考え方
加工物の精度は、機械周囲の温度変化・機械から発生する熱・加工で発生する熱によって変化します。
オークマの「サーモフレンドリーコンセプト」は、こうした温度変化を”受け入れる”という独自の考え方に基づいた熱変位制御の仕組みです。
熱の発生自体を抑え込もうとするのではなく、素直な熱変位を正確に制御することで寸法安定性を実現するアプローチを取っています。
普通の工場環境で高精度を実現する仕組み
サーモフレンドリーコンセプトの強みは、特別な空調対策を施さなくても普通の工場環境で高精度を実現できる点です。
恒温室のような温度管理設備をわざわざ用意しなくても寸法安定性を保ちやすく、設備投資や光熱費を抑えつつ精度を確保したい現場に向いた考え方です。
この仕組みを採用したオークマ製品の累計販売台数は70,000台に達します。
長く支持されてきた技術であり、空調を厳密に管理しきれない中小規模の工場にとっても、加工精度を安定させる現実的な選択肢になります。
中古オークマNC旋盤の価格相場と選び方
新品でオークマのNC旋盤を導入するにはまとまった予算が必要になるため、中古機での導入を検討する企業も少なくありません。ここでは価格相場と選び方のポイントを解説します。
中古価格を左右する要素と相場の考え方
中古オークマNC旋盤に限定した公表相場は存在せず
、価格は同じ型式でも一台ごとに大きく開くのが実情です。
金額を左右する主な要素は、製造からの年式と稼働時間、主軸やガイド面の摩耗度合い、搭載するOSPの世代、そしてチャックや刃物台といった付属工具の有無です。
加えて、搬入時の電源工事(三相200Vの引き込み)や不足している付属品の調達費用が本体価格に上乗せされる場合もあり、総額は本体価格だけでは決まりません。
中古機は個体差が大きいぶん、相場観をつかむには複数の在庫を並べて比較するのが近道です。特定の金額に飛びつく前に、実機の状態と総額を見積もりで確かめておくと失敗を避けやすくなります。
選ぶときに確認すべきポイント
中古のオークマNC旋盤を選ぶ際は、まず自社が加工したい形状・材質にどのシリーズが対応できるかを見極めることがポイントです。
LB系・GENOS L系・LU系のどれが適するかは、加工径や工程数によって変わります。加えて、OSPの世代・仕様による操作性の違いを実機で確かめることも欠かせません。
主軸の精度検査や電装系・油圧系統の動作確認、整備記録の有無も、長く使い続けるための重要な判断材料です。
※中古機の価格は年式・稼働時間・整備状態・付属工具の有無によって一台ごとに変動します。オークマ製に限定した公表相場は存在しないため、実際の購入検討時は最新の見積もりでご確認ください。
シェアリングファクトリーの中古工作機械売買サービス
オークマのNC旋盤をはじめとする中古工作機械の売買・レンタルなら、シェアリングファクトリーにご相談ください。
全国の工場から集まった旋盤・マシニングセンタ・複合加工機などの在庫情報をもとに、予算や加工内容に合った一台を提案しています。売却をご検討中の設備についても、適正価格での買取査定に対応します。
工作機械の売買・導入でお困りの際は、シェアリングファクトリーへお気軽にお問い合わせください。
オークマのNC旋盤についてよくある質問
オークマとはどんな会社ですか?
オークマ株式会社は、愛知県丹羽郡大口町に本社を置く工作機械メーカーです。
創業1898年・設立1918年という長い歴史を持ち、NC旋盤・複合加工機・マシニングセンタ・研削盤などのNC工作機械を製造・販売しています。制御装置「OSP」まで自社開発している点も特徴です。
オークマのNC旋盤にはどんな種類がありますか?
オークマのNC旋盤は、大きく1サドルCNC旋盤(LB EX Ⅲ・LB EX Ⅱ・LB・GENOS L)と、2サドル・対向主軸タイプ(LU EX・LU・LT EX)の2系統に分かれます。
前者は標準的な旋削加工向け、後者は対向主軸で複数工程を連続して加工したい場合に選ばれるシリーズです。
オークマのNC旋盤とMULTUSなどの複合加工機はどう違いますか?
MULTUSシリーズは、NC旋盤とマシニングセンタの機能を1台に統合した「複合加工機」であり、狭義のNC旋盤(LB・GENOS L・LU等)とは別カテゴリに分類されます。
用途で選ぶなら、旋削だけで足りるならNC旋盤、旋削と多工程加工を1台に集約したいなら複合加工機です。
中古のオークマNC旋盤の価格相場はどれくらいですか?
オークマ製に限定した公表相場は存在せず
、価格は年式・稼働時間・整備状態・付属工具の有無によって一台ごとに大きく変わります。
中古機は個体差が大きいため、複数の在庫を比較し、電源工事や付属品まで含めた総額を実機の見積もりで確認しておきましょう。
中古のオークマNC旋盤を選ぶときのポイントは何ですか?
まず、自社で加工したい形状・材質にどのシリーズが適しているかを見極めることが出発点です。そのうえでOSPの世代による操作性の違いや、主軸の精度検査・整備記録の有無も確認しておきましょう。
中古機は稼働時間や整備履歴によって状態が大きく変わる点も見逃せません。
まとめ:オークマNC旋盤の特徴を理解して自社に合う一台を選ぼう
オークマのNC旋盤は、系統整理されたラインナップと、制御装置まで自社開発する「機・電一体」の思想に支えられています。
LB・GENOS L等のシリーズ選びに加え、OSPの世代やサーモフレンドリーコンセプトによる熱変位制御を理解しておくと、自社の加工内容に合った一台を選びやすくなります。
中古機を検討する場合は、複数の在庫を比較しつつ整備履歴の確認を欠かさないようにしましょう。
工作機械の売買・レンタルをご検討の方は、お気軽にご相談ください。
