旋盤のメーカー選びで、どこを基準に絞り込めばよいか迷っていませんか。国内には数多くの旋盤メーカーがありますが、社数の多さよりも「自社の加工内容に合うメーカー」を見極める視点が欠かせません。
本記事では国内主要9社を総合工作機械・CNC自動旋盤(スイス型)・専業旋盤の3分類で整理し、機種別の得意分野から新品・中古での選び方まで解説します。
旋盤メーカーを選ぶ前に知っておきたい基本区分
旋盤のメーカーを比較する前に、まず押さえておきたいのが「旋盤にはいくつかの種類があり、メーカーごとに得意な区分が異なる」という点です。
汎用旋盤・CNC旋盤・CNC自動旋盤・複合加工機という区分を知っておくと、9社を比較する際にどのメーカーが自社の加工に合うか判断しやすくなります。
また、旋盤市場では現在複合加工機の存在感が大きく増しており、選定の前提条件も変わりつつあります。
旋盤の基本構造と「削り方」の違い
旋盤は、ワークと呼ばれる加工対象物を主軸に取り付けたチャック(工作物を固定する装置)で固定し、回転させながら刃物台に付けたバイト(切削工具)で削る工作機械です。
主軸の回転と刃物台の送り動作を組み合わせることで、円筒形状や段付き形状の部材を高精度に仕上げられます。 主軸台・チャック・往復台といった各部の連携が、旋盤の削り方を決める基本要素です。
汎用旋盤・CNC旋盤・CNC自動旋盤・複合加工機の4分類
旋盤は大きく「汎用旋盤」「CNC旋盤(タレット型)」「CNC自動旋盤(スイス型)」「複合加工機」の4タイプに分けられます。
NC(数値制御)装置を搭載したCNC旋盤はタレットに複数の工具を装着し、チャックワークの量産に向いています。 一方、CNC自動旋盤は主軸移動型で小径・長物の連続加工が得意です。
ただし各メーカーは複数カテゴリの製品を持つため、社名だけで単純に断定するのは避けましょう。
旋盤受注額の動向――複合加工機が旋盤全体の46.3%に
日本工作機械工業会の2024年確報によると、国内の旋盤類受注額は4,893億円で前年比3.5%減少しました。
このうち複合加工機は2,267億円と旋盤全体の46.3%を占め、初めて45%を超えています。 量産効率を重視する現場で複合加工機の採用が広がっている状況です。
なお、メーカー別の国内シェアはJMTBA統計になく、本記事では順位を扱いません。
国内主要旋盤メーカー9社を分類で比較
国内の旋盤メーカーは、総合工作機械メーカー・CNC自動旋盤(スイス型)メーカー・専業旋盤メーカーの3グループに大きく分けられます。
「社数が多い」ことより「どのグループのどの得意分野が自社の加工に合うか」を軸に見ていくと選びやすくなります。 旋盤・マシニングセンタの両方を手がける総合メーカーについては、「横型マシニングセンタとは|縦型との違い・種類・主要メーカー・中古選びまで解説」が参考になる記事です。
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メーカー |
設立/創業 |
本社 |
主力カテゴリ |
得意分野 |
|---|---|---|---|---|
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ヤマザキマザック |
1919年創業(工作機械製造は1927年〜) |
愛知県丹羽郡大口町 |
CNC旋盤・複合加工機 |
対話型CNC「MAZATROL」による総合工作機械 |
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オークマ |
創業1898年/設立1918年 |
愛知県丹羽郡大口町 |
NC旋盤・複合加工機 |
NC装置を自社製造する総合工作機械 |
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DMG森精機 |
1948年10月26日設立 |
東京都江東区 |
ターニングセンタ・複合加工機 |
5軸・複合加工と国際展開 |
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シチズンマシナリー |
1930年5月設立 |
長野県北佐久郡御代田町 |
CNC自動旋盤(スイス型) |
主軸移動型・小径長物の精密加工 |
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スター精密 |
1950年7月設立 |
静岡県静岡市駿河区 |
CNC自動旋盤(スイス型) |
スイス型自動旋盤/特機と工作機械の2本柱 |
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ツガミ |
1937年3月設立 |
東京都中央区 |
CNC精密自動旋盤 |
スイス型・精密自動旋盤 |
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中村留精密工業 |
1960年12月設立 |
石川県白山市 |
複合精密CNC旋盤・複合加工機 |
2タレット2主軸の複合旋盤 |
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高松機械工業(TAKAMAZ) |
1961年7月設立 |
石川県白山市 |
CNC旋盤 |
3〜10インチの小・中型CNC精密旋盤 |
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TAKISAWA |
1922年8月創立 |
岡山市北区 |
NC旋盤(タレット型)・普通旋盤 |
高剛性CNC旋盤と普通旋盤 |
総合工作機械メーカー3社の選定視点――ヤマザキマザック・オークマ・DMG森精機
ヤマザキマザック・オークマ・DMG森精機は、CNC旋盤から複合加工機まで幅広い製品群を手がける総合工作機械メーカーです。
旋盤単体だけでなく対話型CNCやNC装置を自社開発している点が共通の強みで、代表シリーズには「QUICK TURN」「INTEGREX」「GENOS L」「MULTUS」「NLX」「NTX」等があります。 幅広いラインナップから機種を選びたい場合に候補となるグループです。
出典:ヤマザキマザック 会社概要/オークマ株式会社 会社概要/DMG森精機 会社概要
CNC自動旋盤(スイス型)メーカー3社の選定視点――シチズンマシナリー・スター精密・ツガミ
シチズンマシナリー・スター精密・ツガミの3社は、主軸移動型のCNC自動旋盤(スイス型)を得意とします。
バー材から小径・長物部品を連続加工する用途に強く、医療機器や自動車部品の微細加工でよく使われます。 ただしスター精密は特機(小型プリンター)と工作機械の2本柱で事業を展開しており、「旋盤専業メーカー」と一括りにはできない点に注意しましょう。
出典:シチズンマシナリー 会社概要/スター精密 会社概要/株式会社ツガミ 会社概要
専業旋盤メーカー3社の選定視点――高松機械工業・TAKISAWA・中村留精密工業(得意カテゴリはそれぞれ異なる)
高松機械工業・TAKISAWA・中村留精密工業は、総合メーカーとは異なり特定分野に特化した専業メーカーです。
ただし3社の得意分野は同じではなく、高松機械工業はCNC旋盤(タレット型・チャックワーク)の小・中型精密旋盤、TAKISAWAはCNC旋盤(タレット型)と普通旋盤、中村留精密工業は複合精密CNC旋盤を主力としています。 「専業」という共通点だけで同一カテゴリと捉えないようにしましょう。
出典:高松機械工業株式会社 会社概要/株式会社TAKISAWA 会社概要・沿革/中村留精密工業 会社概要
機種別に見る得意メーカー
旋盤メーカーを機種のタイプ別に見ていくと、自社の加工内容に合うメーカーがより具体的にイメージしやすくなります。
汎用旋盤・CNC旋盤(タレット型)・CNC自動旋盤(スイス型)・複合加工機のそれぞれで、強みを持つメーカーは異なります。 CNC旋盤と汎用旋盤そのものの仕組みについては、「CNC旋盤とは?NC旋盤との違いや種類・メリット・選び方をわかりやすく解説」と「汎用旋盤とは?構造・使い方・NC旋盤との違いをわかりやすく解説」でも詳しく解説しています。
汎用旋盤・普通旋盤に強いメーカー
汎用旋盤(普通旋盤)は、NC装置を持たず手動で操作する旋盤です。
国内メーカーの中では、TAKISAWAが普通旋盤とCNC旋盤(タレット型)の両方を今も製造しています。 新品市場では縮小傾向にあり、教育機関や小ロット加工の現場では中古の普通旋盤が今も活躍しています。
CNC旋盤・タレット旋盤に強いメーカー
CNC旋盤(タレット型)は、複数の工具を搭載したタレットで段取り替えを減らし、チャックワークの量産に向いた機種です。
ヤマザキマザック・オークマ・高松機械工業・TAKISAWA・DMG森精機がこの区分に強みを持ちます。 TAKISAWAの「TCC-Series」は強力な8角タレットを標準搭載するなど、タレット部の剛性を重視したモデルも見られます。
CNC自動旋盤(スイス型)・複合加工機に強いメーカー
CNC自動旋盤(スイス型)は、シチズンマシナリー・スター精密・ツガミが強みを持つ分野です。
複合加工機ではヤマザキマザックの「INTEGREX」、DMG森精機の「NTX」、中村留精密工業の「WY-V」「JX」、オークマの「MULTUS」など、旋削とフライス加工を1台でこなすシリーズが揃っています。
出典:中村留精密工業 製品情報
旋盤メーカーの選び方(新品・中古で異なる検討軸)
旋盤メーカーの選び方は、新品を導入するか中古を導入するかで検討する軸が変わります。
新品では得意分野やCNC装置の違いに注目し、中古では部品供給の継続性や年式、アフターサービス体制まで含めて確認することが欠かせません。 ここで整理するのは、新品・中古それぞれの視点と、稼働停止リスクを減らす考え方です。
工作機械そのものの基礎知識については、「機械加工とは?種類・加工方法・工作機械の基礎知識をわかりやすく解説」でも詳しく解説しています。
新品導入時に見るべきポイント(得意分野・CNC装置・価格帯)
新品を導入する際は、まず自社の加工内容に合う得意分野を持つメーカーかどうかを確認しましょう。
マザトロールやOSP等、メーカーごとにCNC装置の操作性や機能が異なるため、操作するオペレーターの習熟度も踏まえて検討するのがおすすめです。 価格帯や納期はメーカー・機種によって幅があるため、複数社から見積もりを取ることをおすすめします。
中古導入時に見るべきポイント(部品供給継続性・年式・アフターサービス)
中古を導入する際は、流通量が多いメーカー・機種ほど部品調達がしやすく、長期的な運用がしやすいという視点も欠かせません。
年式が古い機種では、制御装置やベアリング等の消耗部品が入手しづらくなるケースもあるため、購入前にメーカーのサポート体制やアフターサービスの状況を確認しておきましょう。 中古市場での流通量は選定材料のひとつになります。
稼働停止リスクを減らす視点(メーカー選びと運用面のつながり)
旋盤選びは、導入後の運用面ともつながっています。
加工中に機械が停止すると、段取りのやり直しや納期遅延といった損失につながるおそれがあるため、メンテナンス対応の早さや消耗部品の供給体制も選定時に確認しておきたいポイントです。 メーカー選びの段階から、こうした運用リスクを見据えておきましょう。
シェアリングファクトリーの中古工作機械売買サービスについて
シェアリングファクトリーは、旋盤をはじめとする中古工作機械の売買・買取・仲介を専門に行っています。
メーカーや年式を問わず幅広い旋盤の取り扱い実績があり、導入前の相談から搬入・据付までワンストップで対応可能です。 「自社の加工に合う旋盤メーカーが分からない」という段階からでも気軽に相談できる体制を整えています。
工作機械の売買・導入でお困りの際は、シェアリングファクトリーへお気軽にお問い合わせください。
旋盤メーカーについてよくある質問
Q1. 旋盤の大手メーカーはどこですか?
ヤマザキマザック・オークマ・DMG森精機は、旋盤から複合加工機まで幅広く手がける大手の一角として知られています。
ただし国内の旋盤メーカー別シェアは日本工作機械工業会(JMTBA)の統計として公表されておらず、「シェアNo.1」等の順位は本記事では扱いません。 見極めたいのは知名度よりも、自社の加工内容に合うかどうかという相性です。
Q2. CNC旋盤・NC旋盤で評価の高いメーカーはどこですか?
CNC旋盤(タレット型)の分野では、ヤマザキマザック・オークマ・高松機械工業・TAKISAWA等が代表的なメーカーとして挙げられます。
各社ともタレットに複数の工具を搭載し、チャックワークの量産に適した機種を展開している点が特徴です。 ただし「シェアが高い」という表現には公的な裏付けがないため、機種のラインナップや得意分野で比較することをおすすめします。
Q3. 汎用旋盤を今も製造しているメーカーはどこですか?
国内メーカーの中では、TAKISAWAが普通旋盤とCNC旋盤(タレット型)の両方を現在も製造しているメーカーです。
汎用旋盤の新品市場は縮小傾向にありますが、教育機関や小ロット加工の現場では中古の汎用旋盤も引き続き使われています。 他メーカーの製造状況については公式情報での確認をおすすめします。
Q4. タレット旋盤など特殊な旋盤を扱うメーカーはどこですか?
タレット旋盤では、TAKISAWAの「TC-Series」「TCC-Series」等が代表的です。
「TCC-1100」は強力な8角タレットを標準搭載するなど、タレット部の剛性を重視したモデルも展開されています。 タレット部を持つことで段取り替えの回数を減らせる点が、量産加工における強みにつながっています。
Q5. 旋盤メーカーを選ぶときのポイントは何ですか?
旋盤メーカーを選ぶ際は、まず自社の加工内容に合う得意分野を持つメーカーかどうかを確認しましょう。
そのうえで新品ならCNC装置の操作性、中古なら部品供給の継続性やアフターサービス体制まで含めて検討すると、導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。 迷った際は専門業者への相談も選択肢のひとつです。
まとめ:自社の加工内容に合う旋盤メーカーを選ぼう
旋盤メーカー選びの本質は、社数の多さではなく自社の加工内容に合う得意分野の見極めにあります。
総合工作機械・CNC自動旋盤(スイス型)・専業旋盤という分類を押さえたうえで、新品なら得意分野とCNC装置の違い、中古なら部品供給の継続性を確認すると選びやすくなります。 旋盤のメーカー選びに迷ったら、実機を確認しながら相談してみましょう。
工作機械の売買・レンタルをご検討の方は、お気軽にご相談ください。
