ブローチ盤の定義や、内面と表面の違い、立形・横形の呼び方が分からず迷う方へ。JIS B 0105は、ブローチを使って工作物の表面または穴の内面を加工する工作機械と定めています。
定義、種類、工作方法、各部の名称、不二越の機種構成、中古で書き出す項目を解説します。
ブローチ盤とは?JIS B 0105が定める定義
JIS B 0105:2012(工作機械―名称に関する用語)では、ブローチ盤(用語番号11000)の定義は「ブローチを使用して,工作物の表面又は穴の内面に,いろいろな形状の加工を行う工作機械」です。
注記1では、ブローチまたは工作物を主として軸方向に動かすとしています。JIS B 0105は、2026年10月時点で有効な規格です。
出典:kikakurui「JIS B 0105:2012 工作機械―名称に関する用語」(3 用語及び定義 k) ブローチ盤 11000)
出典:JSA Webdesk「JIS B 0105:2012」(状態:有効)
ブローチ盤の種類:内面ブローチ盤と表面ブローチ盤
JIS B 0105は、ブローチ盤を加工する部分によって、内面ブローチ盤と表面ブローチ盤に分けています。
内面ブローチ盤は穴の内面を加工する
内面ブローチ盤は、工作物の穴の内面にいろいろな形状の加工を行うブローチ盤と定義されています(用語番号11001)。規格には、内面ブローチ盤の図45が載っています。
表面ブローチ盤は工作物の表面を加工する
表面ブローチ盤は、工作物の表面にいろいろな形状の加工を行うブローチ盤です(用語番号11002)。JIS B 0105の区分は、穴の内面か表面かという加工する部分で決まります。
出典:kikakurui「JIS B 0105:2012 工作機械―名称に関する用語」(3 用語及び定義 k) ブローチ盤 11001 内面ブローチ盤・11002 表面ブローチ盤・図45)
ブローチ削りの工作方法
ブローチ削りの用語は、JIS B 0106:2016(工作機械―部品及び工作方法―用語)が定めています。
JIS B 0106とJIS B 0170:2020は、いずれも2026年10月時点で有効な規格です。
転削工具を使うフライス盤は「フライス盤とは?種類・加工方法・旋盤との違いをわかりやすく解説」、切削加工全般の基礎は「切削加工とは?種類・使用機械・メリットと工作機械の選び方まで解説」で詳しく解説しています。
JIS B 0106が定めるブローチ削りの用語
JIS B 0106は、ブローチ削りを「ブローチを用いて行う切削」と定義しています。
内面ブローチ削りは「ブローチを用いて工作物内面を削る作業」、表面ブローチ削りは「ブローチを用いて工作物表面を削る作業」です。
押しブローチ削りと引きブローチ削り
工作物に対してブローチを押しながら削る方法は、押しブローチ削りと呼ばれます。引きながら削る方法は、引きブローチ削りです(JIS B 0106の定義)。
直動工具としてのブローチ
JIS B 0170:2020(切削工具用語(基本))は、工具または工作物を直線運動させて使う工具を直動工具とし、平削り盤、形削り盤、ブローチ盤などに用いると示しています。
旋削工具は工作物を回転させる工具、転削工具は工具を回転させる工具で、転削工具はフライス盤などに用います。
出典:kikakurui「JIS B 0170:2020 切削工具用語(基本)」(4.1.1 切削運動による分類 直動工具・旋削工具・転削工具)
出典:JSA Webdesk「JIS B 0106:2016」(状態:有効)
出典:JSA Webdesk「JIS B 0170:2020」(状態:有効)
ブローチ盤の各部の名称
JIS B 0106:2016は、ブローチ盤の部品用語を、共通・内面ブローチ盤・表面ブローチ盤の3区分で定めています。
内面・表面に共通する部分
メインシリンダは、プルヘッドまたはラムに往復運動を与えるシリンダです。リフトシリンダは、ブローチ加工の後、元の位置に復帰させるために往復運動を与えるシリンダ。
工作物を受ける台は、規格ではボルスタと呼ばれます。
フレームは、機械の本体を構成する部分です。
内面ブローチ盤の部品
スライドはブローチホルダを取り付けて案内する台、ブローチホルダはブローチを保持するホルダです。ブローチリフタはブローチをつかんで元の位置に引き上げる装置、ブローチ支えはブローチを支える附属品。
プルチャックはブローチの前柄、リトリーバチャックは後柄をつかむチャックで、案内こまはブローチを案内する部品です。
表面ブローチ盤のラム
ラムは、表面ブローチを取り付けて往復運動をする部分で、表面ブローチ盤の部品として定められています。
不二越のブローチ盤の機種構成
2026年10月時点で、株式会社不二越の公式サイトに掲載されているブローチ盤の製品は14件です。歯切り盤の全体像は「歯切り盤とは?種類・ホブ盤との違い・メーカーを工作機械のプロが解説」で確認できます。
JISのブローチ盤に立形・横形の区分はない
JIS B 0105のブローチ盤の項には、立て形・横形の区分がありません。
立形・横形の呼び方は、以降に挙げる不二越の機種名に出てくる表記です。
内面ブローチ盤と明記された機種名
小形内面ブローチ盤 NBVシリーズと立形内面ブローチ盤 NUVシリーズの2件が、機種名に内面ブローチ盤と明記された機種に該当します。
表面ブローチ盤と明記された機種名
機種名に表面ブローチ盤と明記されているのは、横形表面ブローチ盤 NSLシリーズ、立形表面ブローチ盤 NSVシリーズ、メカニカル表面ブローチ盤 SV-20-23M、小形表面ブローチ盤 SVシリーズ、横形ワーク移動式表面ブローチ盤 NSL-Tシリーズの5件です。
同社はNSLシリーズを横形タービンディスク加工機、SV-20-23Mを立て形タービンディスク加工機とも記載しています。
内面・表面の記載がない機種名
機種名に内面・表面の記載がない機種は、NBV-MA series、ハードブローチ盤HW-5008、メカニカルヘリカルブローチ盤 Hx-Tシリーズ、立形メカニカルワーク移動式ブローチ盤 BV-T- ※MSシリーズ、立形ワーク移動式ブローチ盤 BV-T- ※Sシリーズ、メカニカルタレットブローチ盤 TSLシリーズ、ポットブローチ盤 EVシリーズの7件が該当します。
機種ごとの特長と加工例
NBV-MA seriesは、同社の記載では、油圧式NBVシリーズをベースにしたサーボモータ駆動の小型メカニカルブローチ盤です。
ハードブローチ盤HW-5008の加工事例として、同社はインボリュートスプライン穴の歯面、CVTボール溝、各種異形穴などを挙げています。
Hx-Tシリーズは、同社の記載でインターナルヘリカルギヤ(内歯車)を加工する機種です。
出典:株式会社不二越「ブローチ盤」製品一覧(商品情報>工作機械>ブローチ盤 14件中/1-5件目)
出典:株式会社不二越「ブローチ盤」製品一覧(14件中/6-10件目)
出典:株式会社不二越「ブローチ盤」製品一覧(14件中/11-14件目)
出典:株式会社不二越「ハードブローチ盤HW-5008」(加工事例)
出典:株式会社不二越「メカニカルヘリカルブローチ盤 Hx-Tシリーズ」(特長)
出典:kikakurui「JIS B 0105:2012 工作機械―名称に関する用語」(3 用語及び定義 k) ブローチ盤 11000〜11004)
中古のブローチ盤を探す前に書き出す項目
JIS参考欄の「機械の大きさの表し方」で仕様を書き出す
JIS B 0105の参考欄では、ブローチ盤の機械の大きさの表し方は「最大引張り力及び行程」です。
ただし参考欄であり、規定ではありません。
機種名の区分とメーカー公表の項目を書き出す
機種名の区分として、内面か表面か、メーカーの機種名の呼び方、油圧式かメカニカル式かを書き出す項目です。
不二越のNBV-MA seriesのページには、ブローチの長さの調整範囲とラムストロークの記載があります(2026年10月時点)。
中古全般の選び方は、「中古工作機械の選び方|種類・購入ルート・導入時の注意点を解説」にまとまっています。
出典:kikakurui「JIS B 0105:2012 工作機械―名称に関する用語」(11000 ブローチ盤 参考「機械の大きさの表し方」)
出典:株式会社不二越「NBV-MA series」(特長 段取り替え作業)
シェアリングファクトリーについて
シェアリングファクトリーは、遊休機器を別の会社で活かす、企業間の物品直接売買サービスです
(2026年10月時点)。工作機械を選ぶときは、加工したい工作物の形と大きさを手元で整理しておくと、問い合わせの際に条件を伝えやすくなります。
工作機械の売買・導入でお困りの際は、シェアリングファクトリーへお気軽にお問い合わせください。
出典:シェアリングファクトリー株式会社 公式サイト トップ(「シェアリング ファクトリーとは。」)
ブローチ盤についてよくある質問
Q1. 「ブローチ加工」はJISの用語ですか?
JIS B 0106で定義されている語は「ブローチ削り」です。
「ブローチ加工」の語は、リフトシリンダの定義文「ブローチ加工の後,元の位置に復帰させるために往復運動を与えるシリンダ」に出てくる語です。
Q2. 数値制御で運転するブローチ盤はありますか?
あります。
JIS B 0105は、ブローチ盤に数値制御によって運転するものと、数値制御によらずに運転するものとがあるとしています。数値制御によるものは、特に数値制御ブローチ盤という呼び名です。
Q3. ヘリカルブローチ盤とポットブローチ盤は何を加工する機械ですか?
ヘリカルブローチ盤は、内はす歯歯車を加工する内面ブローチ盤です
(用語番号11003)。ブローチを軸方向と回転方向とに動かして加工します。
ポットブローチ盤は、円筒形の工具の内側を工作物が通過することで、外周部を加工するブローチ盤です(11004)。
Q4. キー溝削りはブローチ削りと同じ意味ですか?
同じ意味ではありません。
JIS B 0106は、キー溝削りを「キー溝を削る加工方法」と定義しており、ブローチを用いるとは限定していません。
Q5. ブローチ(工具)の用語は、どのJISに定められていますか?
ブローチ(工具)の用語を定めた規格は、JIS B 0175:2021「ブローチ用語」です。
2026年10月時点で有効な規格です。
出典:kikakurui「JIS B 0105:2012 工作機械―名称に関する用語」(3 用語及び定義 k) ブローチ盤 11000 注記2・11003 ヘリカルブローチ盤・11004 ポットブローチ盤)
出典:JSA Webdesk「JIS B 0175:2021 ブローチ用語」(状態:有効)
まとめ:ブローチ盤はJISで内面と表面に分かれ、不二越の機種名では立形・横形の呼び分けがある
JIS B 0105は、ブローチ盤をブローチを使って工作物の表面や穴の内面を加工する工作機械と定め、内面と表面の2区分で整理しています。
立形・横形の区分は規格になく、不二越の機種名に出てくる呼び方です。工作方法と各部の名称はJIS B 0106の用語で整理でき、機種の構成は2026年10月時点の公式ページで確認できます。
加工したい部分(穴の内面か表面か)と、機械の大きさの表し方の項目を書き出し、メーカーの仕様と突き合わせましょう。
工作機械の売買・導入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
