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プレス機の買取を考えるとき、押さえておく定めが何なのかは分かりにくいものです。

プレス機械に関係する定めは、動力プレスの譲渡等の制限、動力プレスの特定自主検査、騒音規制法・振動規制法の特定施設の区分などです。

動力プレスの譲渡等の制限・特定自主検査・騒音と振動の特定施設の区分と、機械に表示される事項を、2026年10月時点の条文の範囲で解説します。

動力プレスの表示事項(種類・機械仕様・製造番号・製造者名・製造年月)は、構造規格に定めがある

売却先の違いは「中古機械の買取と直接売買の違い|売却先の選び方と注意点を解説」で、機械情報の整理と搬出の資格は「工作機械の買取前に整理する機械情報・搬出の資格・輸出の許可義務を解説」で扱っています。

動力プレス機械構造規格では、動力プレスの表示の定めは第六章(雑則)の第46条です。

動力プレスの表示事項は、動力プレス機械構造規格の第46条が定めている

第46条が、動力プレスの見やすい箇所に表示するよう定めているのは、動力プレスの種類(スライドによる危険を防止するための機構を有する安全プレスの場合は、その種類も)、機械仕様、製造番号、製造者名、製造年月の5項目です。

機械仕様は、機械プレス(プレスブレーキ以外)、機械プレスブレーキ、液圧プレス(プレスブレーキ以外)、液圧プレスブレーキの区分ごとに項目が違います。

能力を表す語は、騒音規制法施行令の別表(呼び加圧能力)と動力プレス機械構造規格(圧力能力)で異なる

能力を表す語は、出典ごとに違います。

騒音規制法施行令の別表第一では「呼び加圧能力」、動力プレス機械構造規格の第46条では「圧力能力」です。

出典:厚生労働省 法令等データベース「動力プレス機械構造規格」第六章 雑則 第46条(表示)・機械仕様の表

出典:e-Gov法令検索「騒音規制法施行令」別表第一(第一条関係)第一号 ホ(機械プレスの呼び加圧能力)

労働安全衛生法の別表第二(第5号・第11号)に、プレス機械又はシャーの安全装置と動力プレスが掲げられている

第5号の安全装置と第11号の動力プレスは、構造規格の告示も、型式検定の号も別です。

条文は2026年10月時点の現行版です。

法第42条は、特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものなどのうち政令で定めるものについて、厚生労働大臣が定める規格または安全装置を具備しなければ、譲渡・貸与・設置を禁じている

法第42条第1項は「特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他…のうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない」と定めます。

法別表第二に掲げる機械等に、本邦の地域内で使用されないことが明らかな機械等を含まないと定めているのは、施行令第13条第4項です。

構造規格は、動力プレス機械構造規格とプレス機械又はシャーの安全装置構造規格の2本

どちらも労働安全衛生法第42条の規定に基づいて定められています。

動力プレスは動力プレス機械構造規格(昭和52年労働省告示第116号)、安全装置はプレス機械又はシャーの安全装置構造規格(昭和53年労働省告示第102号)です。

前者の第1条は、別表第二第11号の動力により駆動されるプレス機械を動力プレスとしています。後者は「プレス機械又はシャーの安全装置」が対象で、別表第二第5号と同じ名称です。

動力プレス機械構造規格は、適用日(昭和53年1月1日・平成23年7月1日)に現に製造している又は現に存する動力プレスの規格について、なお従前の例による

昭和52年告示の附則第3項は、昭和53年1月1日に現に製造している動力プレスまたは現に存する動力プレスの規格について、なお従前の例によるとしています。

平成23年の附則第2項も、同年7月1日の適用の日について同様で、検定に合格している型式の安全プレス(型式検定合格証の有効期間内に製造・輸入するものに限る)が加わります。

型式検定は、プレス機械又はシャーの安全装置と、スライドによる危険を防止するための機構を有する動力プレスが対象

対象の根拠は、施行令第14条の2の第2号と第8号、法別表第四です(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く)。

法第44条の2第1項は、検定を受けなければならない者を、製造し、または輸入した者としています(施行令の昭和52年改正の附則第4条に、経過措置があります)。

ただし、輸入された機械等で、その型式について外国製造者の検定が行われたものは、この限りではありません。

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第42条第1項(譲渡等の制限等)・別表第二 第5号・第11号、第44条の2第1項(型式検定)・別表第四 第2号・第8号

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第13条第4項(法別表第二に掲げる機械等から除かれる機械等)

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第14条の2 第2号・第8号(型式検定を受けるべき機械等)・附則(昭和52年政令第1号)第4条

出典:厚生労働省 法令等データベース「動力プレス機械構造規格」(昭和52年労働省告示第116号)前文・第1条・附則(昭和52年告示の附則第3項、平成23年厚生労働省告示第4号の附則第1・2項)

出典:厚生労働省 法令等データベース「プレス機械又はシャーの安全装置構造規格」(昭和53年労働省告示第102号)前文

動力プレスの特定自主検査は、事業者が1年以内ごとに1回行い(1年を超えて使用しない期間を除く)、検査標章をはり付ける

安衛則第134条の3の自主検査は、安衛則第135条の3第1項により、法第45条第2項の特定自主検査に当たります。

条文上の義務の主体は「事業者」で、条文は2026年10月時点の現行版です。

事業者は、動力プレスについて1年以内ごとに1回、定期に自主検査を行い(1年を超えて使用しない期間を除く)、記録を3年間保存する(安衛則第134条の3・第135条の2)

安衛則第134条の3第1項のただし書は、1年を超える期間使用しない動力プレスについて、その使用しない期間を対象から除いています。

第2項は、そのただし書の動力プレスを、使用を再び開始する際に自主検査の対象としています。

事業者は、自主検査を行ったときは、検査年月日・検査方法・検査箇所・検査の結果などを記録し、3年間保存します(安衛則第135条の2)。

事業者は、特定自主検査を行った動力プレスに、検査を行った年月を明らかにできる検査標章をはり付ける(安衛則第135条の3第4項)

標章をはり付ける場所は、動力プレスの見やすい箇所です。標章は、特定自主検査を行った年月を明らかにすることができるものです。

特定自主検査の基準は、動力プレス特定自主検査基準(令和7年厚生労働省告示第323号)で、令和8年1月1日から適用されている

基準は、法第45条第3項に基づいて定められました(2026年10月時点)。令和8年1月1日より前は、機械ごとの「特定自主検査指針」に基づいて実施することとされていました。

別表第一の八の項目は、平成23年7月1日以降に製造された動力プレスに限って行うものとされています。

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第45条第2項・第3項(特定自主検査)

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第15条第1項第2号・第2項(定期自主検査・特定自主検査を行うべき機械等)

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第134条の3(動力プレスの定期自主検査)・第135条の2(記録)・第135条の3第1項・第4項(特定自主検査・検査標章)

出典:厚生労働省 法令等データベース「動力プレス特定自主検査基準」(令和7年厚生労働省告示第323号)前文・第二項

出典:佐賀労働局「特定自主検査基準が制定されました【令和8年1月1日より適用】」

騒音規制法・振動規制法の施行令は、液圧プレス(矯正プレスを除く)と機械プレスを特定施設に掲げ、能力の下限は騒音側の機械プレスにだけ付いている

特定施設の区分は、騒音規制法と振動規制法で同じではありません。

騒音規制法施行令も振動規制法施行令も、2022年12月1日施行の版が2026年10月時点の現行版です。

騒音規制法施行令の別表第一は、液圧プレス(矯正プレスを除く)と、呼び加圧能力が294キロニュートン以上の機械プレスを掲げる

第一号は金属加工機械の区分です。液圧プレスは、矯正プレスを除くとされ、能力の下限は付いていません。

機械プレスに付くのは、呼び加圧能力が294キロニュートン以上のものに限るという限定です。

振動規制法施行令の別表第一は、液圧プレス(矯正プレスを除く)と機械プレスを掲げ、機械プレスに括弧書きの限定は付いていない

第一号は、イに液圧プレス(矯正プレスを除く)、ロに機械プレスを掲げています。騒音規制法施行令と違い、機械プレスに呼び加圧能力の語も数値も付いていません。

液圧プレスに矯正プレスを除く括弧書きがあるのは、どちらの令でも同じです。

騒音規制法・振動規制法の規制がかかるのは、指定地域内の特定工場等(特定施設を設置する工場・事業場)

特定施設の廃止の届出を扱っているのは、「コンプレッサーの買取前に確認する空気タンク・届出・撤去の注意点を解説」の記事です。

騒音規制法第27条は、地方公共団体が指定地域内の特定工場等について、「この法律とは別の見地から」条例で必要な規制を定めることを妨げないとしています。

指定地域内の特定工場等以外の工場・事業場については、同条第2項も、条例による規制を妨げないとする条文です。

出典:e-Gov法令検索「騒音規制法施行令」別表第一(第一条関係)第一号 ニ・ホ(液圧プレス・機械プレス)

出典:e-Gov法令検索「振動規制法施行令」別表第一(第一条、第三条関係)第一号 イ・ロ(液圧プレス・機械プレス)

出典:e-Gov法令検索「騒音規制法」第2条第2項(特定工場等)・第3条第1項(地域の指定)・第27条第1項・第2項(条例との関係)

出典:e-Gov法令検索「振動規制法」第2条第2項(特定工場等)・第3条第1項(地域の指定)

遊休機器を、企業間で直接売買できるシェアリングファクトリー

シェアリングファクトリーは、遊休機器を別の会社で活かす、企業間の物品直接売買サービスです

(2026年10月時点)。

中古機械の売買でお困りの際は、シェアリングファクトリーへお気軽にお問い合わせください。

出典:シェアリングファクトリー株式会社 公式サイト トップ(「シェアリング ファクトリーとは。」)

プレス機についてよくある質問

Q1. 動力プレスの特定自主検査は、誰が行いますか?

法第45条第2項は、特定自主検査を、厚生労働省令で定める資格を有する事業者(法人は代表者または役員)が自ら実施するか、その使用する労働者で資格を有するもの、または検査業者に実施させるよう定めています。

検査業者は、法第54条の3第1項の登録を受け、他人の求めに応じて特定自主検査を行う者です。

Q2. 型式検定に合格した機械等には、どのような表示が付きますか?

型式検定に合格した型式の機械等には、合格した旨の表示が付されます(法第44条の2第5項)。

型式検定を受けた者が、合格した型式の機械等を本邦で製造し、または輸入したときに付けるもので、輸入した者(検定を受けた者以外)も同様です。

Q3. プレス機械又はシャーの安全装置には、どのような事項が表示されますか?

プレス機械の安全装置には、製造番号、製造者名、製造年月、安全装置の種類、使用できるプレス機械の種類や圧力能力などが表示されているものでなければなりません(安全装置構造規格第26条第1項)。

シャーの安全装置は第2項が定め、使用できるシャーの種類や裁断厚さなどが加わります。

Q4. 「機械プレス」と「液圧プレス」は、騒音・振動の施行令でどう掲げられていますか?

騒音・振動の両施行令の別表第一は、液圧プレス(矯正プレスを除く)と機械プレスを、別の語として掲げています。

プレス機械の用語に関するJISは、JIS B 0111(プレス機械-用語)です。

Q5. 機械を譲渡する人には、相手方の事業者に危険性等を通知する努力義務がありますか?

安衛則第24条の13第1項に、通知するよう努めなければならないとする努力義務の定めがあります。

労働者に危険を及ぼし、または労働者の健康障害をその使用により生ずるおそれのある機械を譲渡し、または貸与する者が、型式、製造番号など機械を特定する事項や、危険のおそれのある箇所に関する事項などを、文書の交付等により相手方の事業者に通知する内容です。

プレス機械が当たるかは、条文に個別の記載がありません。

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第45条第2項(特定自主検査の実施者)・第54条の3第1項(検査業者の登録)

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第44条の2第5項(型式検定に合格した旨の表示)

出典:厚生労働省 法令等データベース「プレス機械又はシャーの安全装置構造規格」第26条(表示)第1項・第2項

出典:日本産業標準調査会(JISC)「JIS B 0111 プレス機械-用語」(規格名称)

出典:e-Gov法令検索「騒音規制法施行令」別表第一(第一条関係)第一号 ニ・ホ(液圧プレス・機械プレスの語)

出典:e-Gov法令検索「振動規制法施行令」別表第一(第一条、第三条関係)第一号 イ・ロ(液圧プレス・機械プレスの語)

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第24条の13第1項(機械に関する危険性等の通知)

まとめ:売却前に、動力プレスの譲渡等の制限・特定自主検査・騒音と振動の特定施設の区分を確認する

プレス機の買取前に確認したい定めは、動力プレスの譲渡等の制限、特定自主検査、騒音と振動の特定施設の区分などです。

法第42条は、別表第二に掲げるものなどのうち政令で定めるものについて、規格または安全装置を具備しなければ譲渡・貸与・設置してはならないと定めています。

特定自主検査は、事業者が1年以内ごとに1回(1年を超えて使用しない期間を除く)行います。機械プレスの区分は、騒音と振動で別々です。

売却を考えるときは、機械に表示された事項と、検査標章で分かる検査年月を確認しておきましょう。

中古機械の売買をご検討の方は、お気軽にご相談ください。