コンプレッサーを売る前に、空気タンクの区分や届出、電源の取り外しで確認漏れがないか不安です。売る前に仕様を書き出し、該当しうる区分を所管の窓口やメーカーへ確認します。
空気タンクの圧力容器区分、騒音・振動の廃止届、電源を外す作業の資格、冷媒を使う付帯設備の扱いを、条文と公的資料、メーカーの案内の範囲で解説します。
コンプレッサーを売る前に、方式・給油の有無・定格出力・最高圧力・空気量・タンクの内容積と寸法を書き出す
動作状態・修理履歴・故障箇所・稼働時間などの見積もり前の確認項目や売却先の違いは、「中古機械の買取と直接売買の違い|売却先の選び方と注意点を解説」の記事が詳しいです。
コンプレッサー固有の項目として、方式(往復式かスクリュー式か)、給油式か無給油式か、原動機の定格出力、最高圧力、空気量、空気タンクの内容積と胴の寸法を、機器ごとに書き出します。内容積と寸法は空気タンクの区分、定格出力は騒音・振動の特定施設の区分を判断する値です。
ドライヤーやフィルターなどの付帯設備も、事前に別の機器として書き出しておきます。
出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第1条第7号(内容積・胴の内径と長さの項目)
出典:e-Gov法令検索「騒音規制法施行令」別表第一 第2号(原動機の定格出力の項目)
空気タンクは第二種圧力容器に当たるか、売る前に条文の区分で確認する
空気タンクが第二種圧力容器に当たるかを決めるのは、圧力と、内容積または胴の寸法の区分です。
第二種圧力容器は、圧力に加えて内容積または胴の寸法の区分で定義される
労働安全衛生法施行令は、ゲージ圧力0.2MPa以上の気体を保有する容器のうち、第一種圧力容器を除き、内容積0.04立方メートル以上のもの(イ)、または胴の内径200mm以上で長さ1,000mm以上のもの(ロ)を第二種圧力容器と定めています。
個別のタンクは、メーカーか労働基準監督署に確認してください。
第二種圧力容器は、厚生労働大臣が定める規格または安全装置を具備しなければ、譲渡・貸与・設置できない
労働安全衛生法第42条は、別表第二に掲げるものなどのうち政令で定めるものを、厚生労働大臣が定める規格または安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、設置してはならないと定めています。
別表第二の第2号が第二種圧力容器で、指定の根拠は施行令第13条第1項です。同項では、高圧ガス保安法や電気事業法などの適用を受けるものが除かれます。
第二種圧力容器の銘板の記載事項は告示が、個別検定の対象で合格表示がないものの使用禁止は法第44条が定めている
圧力容器構造規格の第72条が第二種圧力容器の銘板に定める記載事項は、製造者の名称または商標、製造年月、最高使用圧力、水圧試験圧力の4つです。
個別検定の対象の第二種圧力容器で、合格した旨の表示が付されていないものは、法第44条第6項により使用してはなりません。検定を受ける義務を負うのは、製造・輸入した者です。
告示の附則は、適用日に現に存する圧力容器の規格を、なお従前の例によるとしています。
出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第1条第7号イ・ロ(第二種圧力容器)、第13条第1項(法第42条の政令で定める圧力容器)、第14条第2号(個別検定の対象)
出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第42条(譲渡等の制限等)・別表第二 第2号、第44条第1項・第6項(個別検定)
出典:厚生労働省 法令等データベース「圧力容器構造規格」(平成15年厚生労働省告示第196号)第72条(第二種圧力容器の銘板)
指定地域内で騒音規制法・振動規制法の特定施設に当たる場合は、撤去前に届出の要否を確認する
どちらの法律も、規制がかかるのは都道府県知事等が指定する地域内の工場・事業場です。
特定施設の区分は、騒音側が空気圧縮機・振動側が圧縮機で、定格出力の区分が付く
騒音規制法施行令は原動機の定格出力7.5kW以上の空気圧縮機を、振動規制法施行令は同じ7.5kW以上の圧縮機を、いずれも環境大臣が指定するものを除いて特定施設に掲げています。
振動側の低振動型圧縮機は、メーカーの申請に基づく環境省の型式指定で対象から外れます。型式指定の一覧は、令和8年6月23日付のものが掲載されています(2026年10月時点)。
廃止の届出は、届出をした工場が特定施設のすべての使用を廃止したときの規定
騒音規制法・振動規制法の第10条は、届出をした工場・事業場が特定施設のすべての使用を廃止したとき、その日から30日以内に市町村長へ届け出るよう定めています。
特定施設が他に残って数が減るだけなら、第8条の届出が不要な範囲です。売却・撤去の際の届出の要否は、工場の所在地の市区町村に確認してください。
出典:e-Gov法令検索「騒音規制法施行令」別表第一 第2号(空気圧縮機)
出典:e-Gov法令検索「振動規制法施行令」別表第一 第2号(圧縮機)
出典:環境省「低振動型圧縮機」(型式指定の一覧:令和8年6月23日)
出典:e-Gov法令検索「騒音規制法」第3条(地域の指定)・第10条(氏名の変更等の届出)
出典:e-Gov法令検索「騒音規制法施行規則」第6条第3項(第8条ただし書の範囲)
出典:e-Gov法令検索「振動規制法」第3条(地域の指定)・第10条(氏名の変更等の届出)
出典:e-Gov法令検索「振動規制法施行規則」第6条第2項第1号(軽微な変更)
コンプレッサーの電源を外す作業は、電気工事士法の資格区分を確認する
搬出の玉掛け・クレーン・フォークリフトの資格は、「工作機械の買取前に整理する機械情報・搬出の資格・輸出の許可義務を解説」の記事で解説しています。
電源を外す作業は、搬出の資格とは別に、電気工事士法の資格区分を確認する対象です。
経産省の逐条解説は、電気工事の「変更する工事」に撤去の工事が含まれる場合があるとしている
電気工事士法の電気工事は、一般用電気工作物等または自家用電気工作物を設置し、または変更する工事です(政令で定める軽微な工事を除く)。経産省の逐条解説は、変更する工事に撤去の工事も含まれるとしています。
電路が既に遮断され以降電気を用いない場合に、遮断された部分の設備を撤去する作業は電気工事に当たりませんが、電路を遮断する行為自体としての取り外しや、接続を外す作業は電気工事です。
資格の区分は、電気工作物の種類で分かれ、軽微な工事・作業には例外がある
電気工事士法第3条は、自家用電気工作物の電気工事(同条第3項の工事を除く)は第一種電気工事士、一般用電気工作物等の電気工事は第一種または第二種電気工事士でなければ、作業に従事してはならないと定めています。
資格が要らない軽微な工事(政令)と作業(経済産業省令)も、条文に別に定められています。コンプレッサー本体の電源線を外す作業が当たるかは、電気工事士または電気主任技術者に確認してください。
出典:e-Gov法令検索「電気工事士法」第2条第3項(電気工事の定義)・第3条第1項(資格)
出典:e-Gov法令検索「電気工事士法施行令」第1条(軽微な工事)
出典:e-Gov法令検索「電気工事士法施行規則」第2条(軽微な作業)
出典:経済産業省「電気工事士法の逐条解説」令和6年7月版(PDF4ページ:第2条の解説 5.)
冷媒を使う付帯設備は、フロン排出抑制法の区分をメーカーに確認する
冷凍式エアードライヤーなど冷媒を使う付帯設備は、処分やリユースの前に、フロン排出抑制法の区分を確かめます。
冷媒を使う付帯設備が第一種特定製品に当たるかは、環境省の手引きが製造業者への確認を示している
フロン排出抑制法の第一種特定製品は、業務用のエアコンディショナーと冷蔵機器・冷凍機器で、冷媒にフロン類が充塡されているもの(第二種特定製品を除く)です。法の列挙に空気圧縮機は挙がっていません。
冷媒を使う付帯設備が当たるかは、機器ごとの確認事項です。
環境省の手引きは、日本標準商品分類を参考に判断し、なお迷う場合は機器の製造業者へ確認するよう案内しています。
日立産機システムは、同社の冷凍式エアードライヤー内蔵型などを第一種特定製品に該当すると案内している
日立産機システムは、同社製品のうち、冷凍式エアードライヤー内蔵型・搭載型の空気圧縮機、別置型の冷凍式エアードライヤー、冷媒(フロン類)を充塡した冷凍機を内蔵する製品を、第一種特定製品に該当すると案内しています。
同社の案内は、同社製品についてのものです(2026年10月時点)。
第一種特定製品を中古品としてそのまま再利用する場合は、廃棄等に当たらず点検記録簿の引渡しが要る
環境省の手引きは、機器を中古品としてそのまま再利用(リユース)する場合は廃棄等に該当せず、第一種特定製品と合わせて点検記録簿を引き渡すとしています。
対象は第一種特定製品に当たる機器で、コンプレッサー本体が当たるかは別の確認事項です。廃棄等の定義と引渡義務は、「中古機械の買取と直接売買の違い|売却先の選び方と注意点を解説」の記事のよくある質問で解説しています。
出典:e-Gov法令検索「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」第2条第3項(第一種特定製品)
出典:環境省「第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き(第3版・令和3年4月)」(PDF12ページ:概要・解説①、18ページ:「廃棄等」とは)
出典:日立産機システム「フロン排出抑制法(改正フロン法)施行に伴う空気圧縮機・関連機器の扱いについて」(対象となる製品の項)
遊休資産を企業間で直接売買するシェアリングファクトリー
シェアリングファクトリーは、工作機械など遊休資産の企業間直接売買サービスです
(2026年10月時点)。会員登録料と出品手数料は無料で、成約時に販売手数料がかかります。
全ての廃棄物と、補助金などで目的外の利用制限があるものは、利用規約で出品が禁止されています。
中古機械の売買でお困りの際は、シェアリングファクトリーへお気軽にお問い合わせください。
出典:シェアリングファクトリー「はじめてガイド」(遊休資産売買とは/料金について)
出典:シェアリングファクトリー株式会社「利用規約」第11条第1項(オーナーによるシステム利用の支払い)
出典:シェアリングファクトリー株式会社「利用規約」第8条(商品の出品)第2項(12)・(19)
コンプレッサーの買取についてよくある質問
Q1. コンプレッサーは高圧ガス保安法の対象になりますか?
高圧ガス保安法には圧縮空気の適用除外の定めがあり、該当は圧力などの条件で変わります。
政令が除外するのは、圧縮装置(空気分離装置用のものを除く)内の圧縮空気で、温度35度においてゲージ圧力5MPa以下のものです。
経済産業省の内規は「圧縮装置」に、設備の配置等からみて一体として管理されるものとして設計された空気タンクが含まれるとしています。
個別の機器は、メーカーや所管の窓口に確認してください。
Q2. 圧力が区分に届かない空気タンクは、規制が及びませんか?
ゲージ圧力0.2MPa未満で第二種圧力容器に入らない容器でも、規制が及ばないとは限りません。
施行令第13条第3項第27号は、大気圧を超える圧力の気体を保有する容器で、内容積が0.1立方メートルを超えるものを、法第42条の対象に挙げています(第1条第5号イ〜ニの容器、第二種圧力容器、アセチレン発生器、高圧ガス保安法などの適用を受けるものを除く)。
規格は労働基準監督署かメーカーに確認してください。
Q3. 定格出力が区分に届かないコンプレッサーは、騒音・振動の規制が及びませんか?
条文の区分は定格出力で示されますが、区分に届かなければ規制が及ばないとは言い切れません。
騒音規制法第27条と振動規制法第23条は、地方公共団体が、指定地域内の特定工場等について、この法律とは別の見地から条例で必要な規制を定めることを妨げないとしています。
地域の指定と規制基準は自治体ごとに異なるため、届出や基準の扱いは工場の所在地の市区町村に確認してください。
Q4. コンプレッサーの性能試験や小形機に関するJIS規格はありますか?
容積形圧縮機の体積流量と動力の試験方法は、JIS B 8341「容積形圧縮機-性能試験」(2026年2月20日改正)が規定しています。
また、JIS B 8342「小形往復空気圧縮機」は、規格概要によると、定格出力11kW以下の電動機などで駆動する、最高圧力0.2〜1.0MPaの単動空冷1段と、0.7〜1.4MPaの単動空冷2段の往復空気圧縮機などを対象とする規格です。
Q5. 第二種圧力容器の定期自主検査は、誰が行うものですか?
第二種圧力容器の定期自主検査は、事業者に義務づけられています。
ボイラー及び圧力容器安全規則第88条は、使用を開始した後、1年以内ごとに1回、本体と管及び弁の損傷、ふたの締付けボルトの摩耗の有無を自主検査し、結果を記録して3年間保存するよう求めています。
1年を超えて使用しない期間は除かれ、再び使用を開始する際に自主検査を行います(第88条第2項)。高圧ガス保安法などの適用を受ける容器も適用の外です。
出典:e-Gov法令検索「高圧ガス保安法」第3条第1項第9号(適用除外)
出典:e-Gov法令検索「高圧ガス保安法施行令」第2条第5項第1号(圧縮装置内の圧縮空気)
出典:経済産業省「高圧ガス保安法及び関係政省令の運用及び解釈について(内規)」(PDF18ページ:施行令第2条第5項第1号関係(2)「圧縮装置」の範囲)
出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第13条第3項第26号・第27号(法第42条の対象となる容器)
出典:e-Gov法令検索「騒音規制法」第4条(規制基準の設定)・第27条(条例との関係)
出典:e-Gov法令検索「振動規制法」第4条(規制基準の設定)・第23条(条例との関係)
出典:日本規格協会 JSA Webdesk「JIS B 8341:2026 容積形圧縮機-性能試験」(規格名称・発行年月日・規格概要)
出典:日本規格協会 JSA Webdesk「JIS B 8342:2008 小形往復空気圧縮機」(規格概要)
出典:e-Gov法令検索「ボイラー及び圧力容器安全規則」第88条第1項〜第3項(第二種圧力容器の定期自主検査)・第125条(適用除外)
まとめ:売却前に、空気タンクの区分と、撤去前の届出の要否・資格を確認する
コンプレッサーを売る前は、仕様を書き出したうえで、空気タンク、騒音・振動の特定施設、電源の取り外し、冷媒を使う付帯設備の区分を確かめます。
空気タンクが第二種圧力容器に当たるかは、圧力と、内容積または胴の寸法で判断します。
廃止の届出は、届出をした工場がすべての使用を廃止したときの定めです。まずは書き出した仕様を手元にそろえ、該当しそうな区分を労働基準監督署・市区町村・メーカーへ問い合わせましょう。
中古機械の売買をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
