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正面旋盤と普通旋盤の違いが分からず、迷っていませんか。JISは正面旋盤を、水平な主軸に面板を備え、主として正面削りを行う旋盤と定めています。立て旋盤との分かれ目は主軸の向きです。

JISの定義、構造の3点、向く工作物、普通旋盤・立て旋盤との違いを解説します。

正面旋盤とは?JISが定める定義

正面旋盤は、JIS B 0105:2012(工作機械―名称に関する用語)で用語番号02901として定められた旋盤です。

JISの定義は「面板を備え、主として正面削りを行う旋盤」

JIS B 0105による正面旋盤の定義は「水平面内にある主軸に面板を備え,主として正面削りを行う旋盤」です。定義の文言は「主として」正面削りを行う旋盤で、正面削りだけを行う旋盤とは書かれていません。

「正面削り」と「面削り」はJISの規格ごとに別の語で定められている

B 0105の旋盤と正面旋盤の定義文は、どちらも「正面削り」の語を使った表現です。

一方、JIS B 0106:2016が工作方法の用語として定める「面削り」は、「工作物の端面を平面状にする旋削」。旋削は、同規格で「工作物を回転させ,バイトに送り運動を与えて行う切削」と定められた語です。

B 0106の工作方法に、「正面削り」の見出しはありません。

出典:JSA「JIS B 0105:2012 工作機械―名称に関する用語」(3 用語及び定義 b) 旋盤 02000・02901)

出典:JIS B 0106:2016 工作機械―部品及び工作方法―用語(b) 工作方法 01100 旋削・01103 面削り)

正面旋盤の構造|面板・刃物台の動き・大きさの表し方の3点

JISの定義と注記から読み取れる構造は、水平な主軸の面板・主軸に直角に動く刃物台・大きさの表し方の3点です。

水平な主軸の先に面板がある

JISの定義では、主軸が水平面内にあり、その主軸に面板を備えます。デジタル大辞泉での面板の説明は「大きな工作物取り付け用の面板」です。

刃物台は主軸に直角方向に広範囲に動く

JIS B 0105は、正面旋盤の定義の注記で「刃物台は,主軸に直角方向に広範囲に動く」としています。デジタル大辞泉の記述は、刃物が主軸と直角方向に広範囲に動き、平面を削るというものです。

大きさは「ベッド上の振り又は面板の直径」と「面板から往復台までの距離」で表す

JIS B 0105は、用語の定義とあわせて、機械の大きさの表し方も示しています。「ベッド上の振り又は面板の直径,及び面板から往復台までの距離」が、正面旋盤の大きさの表し方です。

出典:JSA「JIS B 0105:2012 工作機械―名称に関する用語」(3 用語及び定義 b) 旋盤 02901 の定義・注記・機械の大きさの表し方)

出典:小学館『デジタル大辞泉』「正面旋盤」(コトバンク掲載)

正面旋盤が向く工作物|JISは大きさを数値で定めていない

正面旋盤にどのような工作物が向くのかは、出典によって書かれ方が異なります。

JISの定義に大きさや形の語はない

JISの正面旋盤の定義には、「大型」「短い」といった語も、大きさの上限・下限の数値もありません。

大型の目安は、「大型旋盤とは?どこからが大型か・種類・用途を解説」にまとまっています。

世界大百科事典は「外径が大きくて長さの短いもの」を加工する旋盤とする

平凡社『改訂新版 世界大百科事典』の「旋盤」の項では、旋盤の種類の一つに「外径が大きくて長さの短いものを加工する正面旋盤」が挙げられています。

株式会社西部ハイテックは、製品案内ページで正面旋盤を「長さに比べて外径寸法の大きい円板状加工物の主に正面削り加工を行う旋盤」と説明しています(2026年10月時点)。

出典:JSA「JIS B 0105:2012 工作機械―名称に関する用語」(3 用語及び定義 b) 旋盤 02901 の定義文)

出典:平凡社『改訂新版 世界大百科事典』「旋盤」(コトバンク掲載・旋盤の種類 (4)その他)

出典:株式会社西部ハイテック「製品案内」(正面旋盤の説明文)

正面旋盤と普通旋盤・立て旋盤の違い|主軸の向きと大きさの表し方で比べる

3機種はJIS B 0105で別々の用語として定められ、定義の語を並べると主軸の向きと大きさの表し方に差が出ます。

比較軸

普通旋盤(02100)

正面旋盤(02901)

立て旋盤(02500)

主軸

水平面内で回転する主軸

水平面内にある主軸

垂直面内にある主軸

工作物の保持

JISの定義文に記載なし

面板を備える

テーブル上に取り付け

刃物台の動き

JISの定義文に動きの記載なし

主軸に直角方向に広範囲に動く

コラム又はクロスレールに沿って送る

大きさの表し方

ベッド上の振り・センタ間距離・往復台上の振り

ベッド上の振り又は面板の直径・面板から往復台までの距離

加工できる最大直径・テーブル上面からクロスレール下面までの距離ほか

普通旋盤との違いは大きさの表し方と定義文の書かれ方

JIS B 0105における普通旋盤(02100)の定義は「水平面内で回転する主軸,ベッド,主軸台,心押台,往復台,送り機構などからなる基本的な旋盤」です。

この定義文に、工作物の保持具を示す語は出てきません。

普通旋盤の大きさはセンタ間距離でも表され、正面旋盤の面板から往復台までの距離とは項目が別です。

旋盤全体の分類は、「旋盤の種類を徹底解説|制御方式・構造・用途で分類」に整理されています。

立て旋盤との違いは主軸の向きと工作物を置く部分

JISの立て旋盤(立旋盤)02500の定義は「垂直面内にある主軸に取り付けたテーブル上に工作物を取り付け,刃物台をコラム又はクロスレールに沿って送り切削する旋盤」です。

正面旋盤の主軸は水平面内にあり、立て旋盤の主軸は垂直面内にあります。工作物を保持する部分も、正面旋盤は面板、立て旋盤はテーブルです。

立て旋盤の構造や種類は、「立旋盤とは?構造・種類・他機種との違いを解説」で確認できます。

出典:JSA「JIS B 0105:2012 工作機械―名称に関する用語」(3 用語及び定義 b) 旋盤 02100・02500・02901)

シェアリングファクトリーについて

シェアリングファクトリーは、遊休機器を別の会社で活かす、企業間の物品直接売買サービスです

(2026年10月時点)。工作機械を選ぶときは、加工したい工作物の形と大きさを手元で整理しておくと、問い合わせの際に条件を伝えやすくなります。

工作機械の売買・導入でお困りの際は、シェアリングファクトリーへお気軽にお問い合わせください。

出典:シェアリングファクトリー株式会社 公式サイト トップ(「シェアリング ファクトリーとは。」)

正面旋盤についてよくある質問

Q1. 正面旋盤は英語で何と言いますか?

JIS B 0105が定める正面旋盤の対応英語は face lathe です。

JIS B 0106では、工作物の端面を平面状にする旋削である「面削り」の対応英語が facing です。

同じ旋盤の項で、普通旋盤(02100)の対応英語として centre lathe など4つが挙げられています。

Q2. 立旋盤は立て旋盤と同じ機械ですか?

デジタル大辞泉は見出しを「立(て)旋盤」とし、立旋盤と立て旋盤を同じ機械として扱っています。

同辞典の説明は、主軸を垂直に立てた旋盤で、水平面内で回転するテーブル上に工作物を取り付けて切削するというものです。JISの見出し語は「立て旋盤」です。

Q3. 木工機械の「正面旋盤」は金属加工の正面旋盤と同じ機械ですか?

資料によって説明が分かれます。

村上機械の用語集では、木工機械の項の「正面旋盤」を wood lathe(木工ろくろ)とし、茶たくや盆、椀などの木製の挽物の加工に使うと説明しています。一方、JIS B 0105の正面旋盤は面板を備え主として正面削りを行う旋盤で、対応英語は face lathe です。

Q4. 旋盤では正面削りのほかにどんな加工ができますか?

JISは旋盤を、工作物を回転させ、主としてバイトなどの静止工具を使って、外丸削り、中ぐり、突切り、正面削り、ねじ切りなどの切削加工を行う工作機械と定義しています。

日本工作機械工業会の説明では、外丸削り、面削り、テーパ削り、中ぐり、穴あけ、突切り、ねじ切りなどが旋盤で行う加工です。どちらも「など」で閉じた例示のため、加工はこれらに限られません。

Q5. 倒立旋盤は立て旋盤とどう違いますか?

倒立旋盤(02501)は、JISで「垂直面内にある下向きの主軸に取り付けたチャックで保持した工作物を水平面内で回転させ,刃物台をクロスレールに沿って送り切削する旋盤」と定められています。

立て旋盤(02500)の定義は、主軸に取り付けたテーブル上に工作物を取り付ける旋盤です。定義の語を比べると、倒立旋盤は下向きの主軸とチャック保持、立て旋盤はテーブル上の取り付けで区別されます。

出典:JSA「JIS B 0105:2012 工作機械―名称に関する用語」(3 用語及び定義 b) 旋盤 02000・02100・02500・02501・02901 の定義と対応英語)

出典:小学館『デジタル大辞泉』「立旋盤」(コトバンク掲載)

出典:村上機械株式会社「用語集 木工機械 正面旋盤」

出典:日本工作機械工業会「工作機械の種類と加工方法」(旋盤の項)

まとめ:正面旋盤は面板を備えた水平主軸の旋盤で、立て旋盤とは主軸の向きで分かれる

正面旋盤は面板を備えた水平主軸の旋盤で、立て旋盤とは主軸の向きで分かれます。

普通旋盤とは、大きさの表し方に面板から往復台までの距離を使う点が異なります。外径が大きく長さの短い工作物に向くという説明は、事典など別の出典の記述で、JISの定義にない語です。

加工したい工作物の形と大きさを書き出して、導入の相談に進みましょう。

工作機械の売買・導入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。