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旋盤とフライス盤の違いは、どちらも金属を削る機械だけに分かりにくいものです。旋盤は工作物を回し、フライス盤は工具を回して削ります。実際の使い分けは、部品の形と必要な加工の組み合わせ次第。

工具の呼び名から複合機、導入前の判断軸までを解説します。

旋盤とフライス盤の違いは、回転する側と工具の持ち方に表れる

旋盤とフライス盤の違いが表れる点は、JISの定義の言い方、工具の呼び名、工作方法の用語の3つです。

項目

旋盤

フライス盤

JISの定義の言い方(JIS B 0105)

「工作物を回転させ」、「主としてバイトなどの静止工具を使用して」切削加工を行う工作機械

「フライスを使用して」平面削り、溝削りなどを行う工作機械。注記に「フライスは,主軸とともに回転し,工作物に送り運動を与える」

工具の呼び名

バイト(旋盤で使う刃物の呼び名)

フライス(主軸とともに回転する刃物。正面フライス、エンドミル、みぞフライスなど)

工作方法の用語(JIS B 0106)

旋削:「工作物を回転させ,バイトに送り運動を与えて行う切削」

フライス削り:「フライスを用いて工作物の不要な部分を除去する切削」

B 0106(工作方法)の定義文は、旋削には「工作物を回転させ」と書き、フライス削りには「フライスを用いて」とだけ書きます。工具の回転は定義文には書かれておらず、B 0105(機械)の注記「フライスは,主軸とともに回転し」で示されています。

エンドミルは、中村留精密工業が棒状のシャンクタイプのフライスを指すことが多いと書く呼び名です。みぞフライスは、名前のとおりみぞ(溝)を削るためのフライスです。

出典:JIS B 0105:2012「工作機械―名称に関する用語」(3 用語及び定義 02000 旋盤・05000 フライス盤)

出典:JIS B 0106:2016「工作機械―部品及び工作方法―用語」(3 用語の分類 b) 工作方法)

出典:日本工作機械工業会「工作機械の種類と加工方法」(フライス盤の項:工具の種類)

出典:中村留精密工業「フライス盤とは?旋盤とどう使い分ける?」(3. フライス(刃物)は大きく分けて2タイプ:旋盤の刃物の呼び名=バイト)

旋盤とフライス盤は、部品の形と加工の種類で使い分ける

使い分けの軸は、機械の名前ではなく、部品の形と加工の種類です。

円筒または円盤状の形は、一般に旋盤で削る

JMTBAは旋盤を「一般に円筒または円盤状の工作物を回転させて加工する機械」と説明しています。中村留精密工業が代表的な部品に挙げるのは、シャフト(軸)、フランジ、継手の3点です。

形状ごとの詳しい一覧は、「旋盤で作れるもの|形状と部品例、作れない形を解説」にまとめています。

角ばった形の平面・段差・溝は、一般にフライス盤に向く

JMTBAがフライス盤の加工対象に挙げるのは「平面、曲面、みぞなど」です。中村留精密工業は、一般的に角ばったものへ平面を作る、段差をつける、溝を入れる、穴をあけるといった場面で使うと説明しています。

種類や加工の詳細は、「フライス盤とは?種類・加工方法・旋盤との違いをわかりやすく解説」で扱っています。

穴あけ・溝は、どちらの機械でも行える加工がある

JMTBAは、旋盤の加工例に穴あけと面削りを挙げています。

JIS B 0106の面削りは「工作物の端面を平面状にする旋削」です。一方、中村留精密工業は、フライス盤にドリルを取り付けて穴あけができ、旋盤でも溝を作ると説明しています。

出典:日本工作機械工業会「工作機械の種類と加工方法」(旋盤・フライス盤の項:加工対象と加工例)

出典:中村留精密工業「フライス盤とは?旋盤とどう使い分ける?」(2. フライス盤と旋盤、その使い分けは?/4. フライス盤を使った加工の種類)

出典:中村留精密工業「旋盤加工とは?」(4. 旋盤加工の種類:溝加工)

出典:JIS B 0106:2016「工作機械―部品及び工作方法―用語」(旋削の種類:面削り)

旋盤とフライス盤の機能を合わせ持つ機械と、関連する機械

JISの複合加工機は、工作物の段取り替え(機械から工作物を出し入れして付け替える手間)なしに、旋削、フライス削りなどの複数の加工が行える数値制御工作機械です。

旋盤側を複合化したターニングセンタと複合加工機

JMTBAは、ターニングセンタを「旋盤を複合化したNC工作機械」と説明します。NCは数値制御の略で、回転工具主軸は回転する工具を取り付ける主軸のことです。

旋回割出しできる回転工具主軸を備えるものは、特に「(旋盤形)複合加工機」と呼ばれます。

詳細は「ターニングセンタとは?NC旋盤・マシニングセンタとの違いやメリット・デメリットを解説」で確認できます。

マシニングセンタは自動工具交換で多種類の切削を続けるNC工作機械

JISの定義では、マシニングセンタは、フライス削り・中ぐり・穴あけ・ねじ立てを含む複数の切削を、加工プログラムに従った自動工具交換で行う数値制御工作機械です。

JMTBAは「多種類の加工を連続で行えるNC工作機械」と説明しています。

中村留精密工業の説明では、NC・CNCフライス盤に自動工具交換装置(ATC)の機能を加えたタイプです。

出典:日本工作機械工業会「工作機械の種類と加工方法」(マシニングセンタ・ターニングセンタの項)

出典:JIS B 0105:2012「工作機械―名称に関する用語」(3 用語及び定義 g) 多軸制御・複合工作機械 07100 ターニングセンタ・07200 複合加工機・07300 マシニングセンタ)

出典:中村留精密工業「フライス盤とは?旋盤とどう使い分ける?」(1. フライス盤の種類/6. フライス盤+NC旋盤の機能を持つ複合加工機)

旋盤とフライス盤を導入する前に決めたい判断軸

どちらの機械が要るかは、部品の形と、旋削とフライス削りの両方が要るかどうかで分かれます。

作りたい部品の形と加工内容を書き出す

書き出す項目は、円筒または円盤状か、角ばった形か、両方の要素があるかの3点です。中村留精密工業は、回転軸とは別の角度から施した穴あけや切り欠きの例を、旋盤加工では加工できないものとして示しています。

外注する場合も、この書き出しが相談の材料です。

旋削とフライス削りの両方が要る部品かどうかを確認する

中村留精密工業の説明では、旋盤かフライス盤だけで完成する部品もあれば、どちらの加工も要り、機械から出し入れする部品もあります。

複合加工機はその手間がなく、工程数や刃物の付け替えが多いほど力を発揮するのが同社の説明です。

中古で探す場合は、「中古工作機械の選び方|種類・購入ルート・導入時の注意点を解説」も参考になります。

汎用かNC(数値制御)かは、操作の仕方で分けて探す

中村留精密工業の説明に沿うと、一連の操作を手動で行う汎用か、数値制御で動くNC・CNC(CNCはそれにコンピュータが加わったもの)かという操作方式が、探すときの分け方の軸です。

JIS B 0105は、数値制御によるものを特に数値制御旋盤、数値制御フライス盤と呼びます。

出典:中村留精密工業「旋盤加工とは?」(5. 後工程を経た後で完成品になる部品が多い)

出典:中村留精密工業「フライス盤とは?旋盤とどう使い分ける?」(1. フライス盤の種類/6. 複合加工機)

出典:JIS B 0105:2012「工作機械―名称に関する用語」(02000 旋盤・05000 フライス盤の注記)

工作機械の売買・導入はシェアリングファクトリーへ

作りたい部品が旋盤だけで足りるか、フライス加工も要るかを先に整理しておくと、機械の相談がしやすくなります。

工作機械の売買・導入でお困りの際は、シェアリングファクトリーへお気軽にお問い合わせください。

旋盤とフライス盤の違いについてよくある質問

Q1. 横フライス盤と立てフライス盤は、どこが違いますか?

A. JIS B 0105では、主軸が水平のフライス盤を横、垂直のものを立てと呼びます。ただし「横フライス盤」「立てフライス盤」だけの見出しはなく、ベッド形(05101)と膝形(05102)それぞれの注記に「ベッド形横フライス盤」「膝形立てフライス盤」などの形で出てきます。

JISの表記は「立形」ではなく「立て」です。

キーエンスは「横形と立形」と書いており、表記は出典で異なります。

出典:JIS B 0105:2012「工作機械―名称に関する用語」(05101 ベッド形フライス盤・05102 膝形フライス盤の注記)

出典:キーエンス「切削加工の種類」(CHAPTER 1 フライス加工:フライス盤の種類)

Q2. 「フライス加工」「フライス削り」「ミーリング」は、どう使い分けますか?

A. JIS B 0106の工作方法の用語は「フライス削り」です。JIS B 0105のフライス盤の慣用語は「ミーリング」です。一方、中村留精密工業とキーエンスは「フライス加工」と書いています。

JISの見出し語に「フライス加工」はないため、規格に沿って書くなら「フライス削り」、一般的な呼び方なら「フライス加工」と使い分けます。

出典:JIS B 0105:2012「工作機械―名称に関する用語」(05000 フライス盤の慣用語)

出典:JIS B 0106:2016「工作機械―部品及び工作方法―用語」(3 用語の分類 b) 工作方法:フライス削り)

出典:中村留精密工業「旋盤加工とは?」(1. 切削加工について:②フライス加工)

出典:キーエンス「切削加工の種類」(CHAPTER 1 フライス加工)

Q3. エンドミルはフライスの一種ですか?

A. 中村留精密工業は、シャンクタイプのフライスを一般にエンドミルと呼ぶことが多いと書いています。シャンクタイプは棒状でツールチャックに取り付けるもの、ボアタイプは歯車のような形でアーバに取り付けるものです。

JMTBAは、フライス盤の工具として正面フライス、エンドミル、みぞフライスを並べて挙げています。

出典:中村留精密工業「フライス盤とは?旋盤とどう使い分ける?」(3. フライス(刃物)は大きく分けて2タイプ)

Q4. 技能検定では、旋盤とフライス盤は別の作業ですか?

A. 厚生労働省告示の令和8年度技能検定実施計画では、機械加工職種の選択科目に、旋盤とフライス盤が別々に載っています。学科試験の選択科目には旋盤加工法とフライス盤加工法、実技試験の選択科目には普通旋盤作業とフライス盤作業が並びます(2026年10月時点)。

作業の区分であり、難易度を比べるものではありません。

出典:労働政策研究・研修機構「令和八年度技能検定実施計画を定める件(厚生労働五九)」(第一 都道府県知事が実施する技能検定:機械加工)

Q5. 立て旋盤は、立てフライス盤と同じ機械ですか?

A. 立て旋盤と立てフライス盤は別の機械です。JIS B 0105は立て旋盤を、「垂直面内にある主軸に取り付けたテーブル上に工作物を取り付け」、刃物台を送って切削する旋盤と定義します。

立てフライス盤は主軸が垂直のフライス盤で、フライスが主軸とともに回転する機械です。

旋盤の総称の定義は「工作物を回転させ」で始まります。

出典:JIS B 0105:2012「工作機械―名称に関する用語」(02500 立て旋盤・05102 膝形フライス盤の注記)

まとめ:旋盤とフライス盤は、部品の形と必要な加工の組み合わせで使い分けよう

使い分けの決め手は、部品の形と加工の組み合わせです。

円筒や円盤状なら旋盤、角ばった平面や溝ならフライス盤が一般に向きますが、穴あけなどは両方で行えます。両方の加工が要る部品では、複合機も候補です。

汎用かNCかは、手動で操作するか加工プログラムで動かすかで分けて探します。まずは作りたい部品の形と加工内容を書き出し、旋盤だけで足りるか、フライス加工も要るかを確認しましょう。

工作機械の売買・導入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。